前回のお話
ビビりで悩む小学六年生のヨモギくん。
ポ村小では、六年生は一年生のお世話をするのですが、ヨモギくんの背後にはなにか良からぬものがそーっと近づいているようです。
忍び寄る小さき者。
「びっくりしたぁ。ちょっと驚かしただけなのに、ヨモギ声大きいよ。事件並みだよ」
「ヨモギは今日も面白いね」
「ごごごご、ごめんね。トビーくん、ペンネくん、おはよう」
”1年生は可愛い。でもなんで驚かされた僕の方が、文句を言われ謝っているのか”
こんな小さな1年生にも”怖がり”だって馬鹿にされてしまう僕。
さすがに女の子にも、かなり年下の子にもからかわれると、ちょっと…
だいぶ落ち込む。
世の中、人をからかったりするのが好きな人が多すぎると思う。
そういう人がいない世界、この世にないかなぁ。
そんな妄想をしていた時。
【お知らせ】
今年初!ポ村小学校主催の肝試しを行います。興味のある方はご家族やお友だちをお誘いの上、参加してください。
最悪のお知らせだった。
そして怖がる僕の様子を、面白そうに見る皆の目も怖かった。
「ヨモギくん、参加するよね?」
僕がビビっているのを分かっていながら、ガラゴちゃんはそんなことを言ってくる。
女子ってさぁ。
男子よりもよりビビりな僕のことを馬鹿にしているように見える。
こういうところ、ほんと苦手。
関わってこないでほしい。
参加したくない…
けど、みんなと一緒に参加出来たらいいのに、とも思う。
そんでもって、女子たちを見返したいとも思う。
僕のことをからかってもつまらないって、彼女たちに思わせたい。
「するよ。参加」
”まだ六年生なんだから、少しくらい怖がりだっていいのよ”
祖母はいう。
肝試しに参加すると言ってしまった…
だけど後悔よりは見返したい気持ちの方が強い僕は、身近な大人にビビりのことを相談してみた。
とりあえず、祖母の意見は参考にならなかった。
祖母にとっては幼稚園生くらいに、ひどく幼く見えているのだろう。
”そういうのを個性っていうのよ。人はそれぞれ違ってていいんだ、そう聞いたわ”
母はいう。
誰の意見なんだろう。
ママの意見を聞きたかったのに。
最後に聞いた父からは”情けない”とかって言われると思ったら”俺に似たんだな”なんていいながら笑っている。
父には申し訳ないけれど、僕の方がそんな父を情けないなって思った。
僕のコンプレックスなんて笑い飛ばそうと思ったんだろうけど、僕はそんなのを求めていたんじゃなかった。
解決したい切実な問題だったんだ。
👻 👻 👻
ビビりって言われて、からかわれないような男に。
大人になったら、家族を守れるくらいの男に!
そしてピンクの絆創膏が似合うなんて言われない男に…
ジェンダーレスなんだから、それでもいい?
男の子がビビりだっていいのかな?
でもな、やっぱりピンクじゃなくて青が好きなんだ。
青が似合うようになりたいんだ。
続きます