ポ村で占いの館を営むソヨウさん。
彼は好きな少女に掃除機で吸われた、ゴキブリの生まれ変わりなのだそうです(本人談)
ゴキブリがよく出る季節に、ソヨウさんはてんまさんとにゃこさんにゴキブリの話をしています。
「前世ゴキブリかぁ。いろんな経験ができるっていいよね」
「はい。そうそうゴキブリといえば、昔住んでいた場所の近くに、お弁当を販売しているお店があったんですよ」
「にゃ」
「うん」
「そこでグラタンを購入したんです」
ゴキブリ時代に、掃除機の中で少女の髪の毛を食べて過ごしていたからかソヨウさんは、麺やマカロニなどの長細い食べ物を好むようです。
「家に持って帰ってグラタンの蓋を開けてみたらですね。一緒に料理されたらしきゴキブリが、真ん中にドンといたんですよ。これほんと、実話です。大人になりかけの、多少小さいゴキブリでしたが」
「にゃ」
「それはびっくりだね。お店の人にはなんか言ったの?」
「いいえ。面倒くさくて…結構コンビニやファストフード店で、商品を入れ忘れられたり、間違えられたりするんですが」
「けっこう間違えられるんだ?」
「ええ、でも面倒くさくてですね。店員さんのミスを、指摘したことは無いんです。ただ、このゴキブリの場合、お店の人は気がつかなかったのかなと。純粋にそういう疑問は、浮かびましたけど」
「にゃ」
にゃこさんはさっきから一生懸命お返事をしていますが、相変わらず皆が言っていることは、あまり理解できていません。
「でもまぁそのお店、私がゴキブリのことを指摘しなくても、のちに潰れていましたけどね」
「そうかぁ。私も何されたわけでは無いのに、何でかゴキブリは苦手なんだぁ。あ、ごめんね。前世…」
「大丈夫ですよ」
「にゃこもゴキブリは、見つけたらやっつけたるんにゃ」
「にゃこちゃん。私たち前世、ゴキブリに捕食される側だったのかなぁ」
「にゃ?」
「だからこわいのかも」
「さて、どうでしょう。占います?」
「にゃ。そんにゃことより、お前さっきからにゃんで、てんまちゃんの方をじっと見ているのにゃ?」
「ふふ。てんまさんの髪の毛が、綺麗だなっとみとれていまして」
ソヨウさんは男女の区別なく、人の髪の毛が大好きなのです。
「その髪の毛、頂いてもいいですかね?」
「ええとね、ダメなんだ。まゆちゃんがあげちゃダメだって」
「それはなぜでしょう?」
「ソヨウさんが気持ち悪いからだって」
「ふふ…なんと。まゆさんの言葉をそのまま伝えるのですね」
「へへへ」
続きます