マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

思い出の中の友だち その2

前回のお話
シフォンがポ村の周辺をウロつく悪しきものに襲われ、一生懸命守ろうとしているパゴロウさん。


それなのに!

”守ると決めたのにちっとも守れてない”

バサバサバサ


何やら頭上から、翼が羽ばたく音がしてきました。


そして頭上にある何者かの大きな影がパゴロウさんを覆います。

”今度はなにっ?”


見上げると翼の主はポ村の村長でした。

「パゴロウさん、大丈夫ですか」


「は、はいっ。でもシフォンが」


「シフォン?」


村長がパゴロウさんの指さす方を見ると、今にもシフォンがどろ団子をぶつけられそうになっていました。

当のシフォンは逃げずに悪しきものをにらみつけているようです。


「あれは」

シフォンを熱心に見つめている村長。

「シフォンといいます。僕の大切な家族なんです」

シ・フォ・ン

パゴロウさんのもとに駆け付けた村長は、一緒に悪しきものを追い払い、シフォンを守ってくれました。

悪しきものにどろ団子をぶつけられた時は、御神木を守るように湛える清らかな湧水で泥をきれいに落とすと良いそうです。



「ありがとうございました。シフォンを助けていただいて。泥もきれいに落とせました」


この湧水を悪しきものにかけると、嫌がって逃げていくのでポ村の住民は小ビンにいれて持参している人が多い。


「シフォンも村長にお礼を言って。言える?」


「あ!」

「ありがとうだよ、シフォン。

…え?そ、村長?」


パゴロウさんが村長の顔を見るとシフォンを見て、なぜだか静かに涙を流していました。

村長!?

「どっどうしたんですか?」


「まだこの子たちはポ村にいたのですね」


「もしかして…シフォンの仲間たちのことをご存じで?」


「ええ、だからまだ存在していると知って嬉しくて」


村長は子供の頃に不思議生物と友だちだったことをパゴロウさんに語ります。


「結局この子たちのことを世界に広める前に、姿を消してしまったのですけれどもね」


「あの、密猟者に?」

「はっきりとしたことは分かりません」

「でもこの子たちが姿を消していたということは、嫌な事があったのは確かなのかもしれません」


「…」

「だからこうして再び姿を現してくれて、安心しました」


「はい」

「ま」


「相変わらずかわいいですね」

「癒されますよね」


「私たちでこの子たちのことを守っていきましょう」

「はい。村長がそう言ってくださると心強いです」


「まー」


「あっ、小ビン頂いてもいいですか」


「どうぞ。パゴロウさん。シフォンさんのことをよろしくお願いします」


「はい」


今度はパゴロウさん一人でもしっかりシフォンを守れるように。