前回のお話
ある冬の日。
朝から置いてある謎のダンボールの存在や、店内を漂う謎の甘い香りの正体がなんなのか気になっている薬剤師のオウギさん。
そんな中スタッフ同士で薬の有効期限や、食品の賞味期限について話し合っています。
「開封前の賞味期限が記載されているのに、開封しても期限内だからまだ大丈夫だと勘違いしている人とかいますよね。きちんと“開封後はお早めにお召し上がりください“と記載してあるのに」
そんな風にブツブツとオウギさんの後輩、チョウジさんは言っています。
「そういうタイプは薬を服用する時の注意書きも、しっかり見ないんだろうなぁ。腐敗した食べ物を察知できる能力があれば別にいいんだろうけど」
「祖母とか昔の人って、ほんとそういう嗅覚大事にしていましたよね」
「まぁあれだな。動物みたいな嗅覚があるってことだよな。あいつら意外と新鮮な肉が好きみたいだからな」
「へぇ」
「腐った肉の方が匂いが強くて見つけやすいし、柔らかいから好む動物もいるらしいけど。人間ももう少し腐ったものに対応できるようになれば、食糧不足にならなくてすむのにな」
「残薬問題に続き、食品ロス問題ですか?」
人の10倍の酸度を保つ胃酸で、病原体に負けない体を持つ動物たち。
てんまさんが前に行っていましたがゴキブリなども細菌から守るため、体内で抗生剤を作り出し対応していると言います。
「でもそんな体を手に入れる前にさ、食糧不足を少しでも解決するために、日本人も昆虫食を始める時かもしれないな」
「やっ」
新人薬剤師のロクジョウさんが、小さく声を上げています。
ほとんどの日本人にある、昆虫に対する偏見。
「子供の頃から当たり前に食べていれば、そういう反応にもならないと思うんだけど」
「ひいぃ」
話を聞いていたロクジョウさんが、再び小さく声を上げています。
「スズメバチとかうまいらしいぞ」
「あわわわわ」
「ただ蟹やエビに近いから、甲殻アレルギー、あとはダニアレルギーの人は食っちゃダメらしい」
「ロクジョウさんは甲殻アレルギー?」
「ち、違いますけど」
「じゃぁ、大丈夫だ」
「う、え?」
「実際、虫って甲殻類と見た目変わらなくない?あれも昆虫と同じように食べてなかったら、結構な見た目じゃん」
ついでに毒のある花の蜜を吸う、昆虫も食べてはいけないそうです。
気をつけましょう。
続きます。