マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

カラスケくんの忘れ物 その2

前回のお話

最近カラスケくんにかまってもらえなくて、拗ねていたてんまさん。

久しぶりに見かけたカラスケくんが、落とし物をしていることに気がつきます。

慌てて追いかけるてんまさんですが、毎回すんでのところで追いつくことができません。

そんなこんなを繰り返しているうちに、日が暮れてきました。

カラスたちがおうちに帰る時間が、やってきたようです。



さて、今日一日カシュウさんを目指して飛んでいたはずのカラスケくん。




彼が最後に持っていたのは、何故か小枝でした。



「おうちに持って帰るだす」


カラスケくん、ごきげん。


でも…



なんだか頭にぽっかりと穴が空いているような、何かが足りていないような気がします。




「なんだす?
ワタス何か忘れているのだすかね?」



思い出したい。
でもどうすれば思い出せるのでしょう。



そういう時は、1日の出来事を改めて思い返してみます。



【カラスケくんの一日】
朝起きて、お布団をきれいにして朝ごはんを食べて、そしてお昼ご飯を食べて…



“かっ!“



「思い出しただす」



カラスケくんが思い出したのは、食べようと思っていた柿の存在。

慌てて辺りをキョロキョロします。




「無くなっているだす。
どこかに落としたのだすかね?」



カラスケくんは、その場でうずくまり考え込みます。



一生懸命思い出そうと考えているカラスケくんの元に、やっとこ追いついたてんまさんがやってきました。



「さすがに疲れたぞ、カラスケくん」


「てんまちゃんだす」



「あたし今日1日、カラスケくんにかまってもらったっていうのかな?これ」



「?何だすか?」



「最近カラスケくん、あたしにかまってくれないから」



「ああ…ごめんなさいだす」



「忙しいんだよね?
でもだいぶ振り回されたなぁ。
女を追わせる男だよね。カラスケくんって」



「?何だすか?
てんまちゃんのお話は、時々むつかしいだす」



「はい、貢物」



「かっ!この草…
なんだす?」



カラスケくんは、カシュウさんに届けようとしていた草のことを、綺麗さっぱり忘れてしまっているようです。



「あれぇ?この草カラスケくんのじゃないの?」



「ワタスの?もしかしたら…
この小枝と一緒に、お布団にしようとしていたのかもしれないだす」



現在お口にくわえている小枝と、セットのものだと考えた様子のカラスケくん。




「じゃあ、このガラスの破片は?」



「か!このガラスはワタスのだす」


「でしょ?そうだと思った。それとこれ!」



てんまさんはカラスケくんの柿を差し出します。



「か!ワタスの果物だす。拾ってくれたのだすね?うれしいだす」

「そうかよかった。
てんまちゃんもうれしいよ。
久しぶりにさ、カラスケくんと話せて。
もうちょっと話したいところだけど、カラスケくん、今日疲れたよね?」



「そういえば、ちょっと疲れているだす」



「あたしも実は疲れちゃってるんだぁ
カラスケくん、また今度かまって?
そんで忙しい理由とかも聞かせてね?」




「分かっただす。今度お話するだす。
忘れないようにメモしておくだす」



「お願いね」




女を振り回している自覚のない男、カラスケくん。



おそらく女ごときのことを記したメモなんて、また忘れてしまうのでしょうね。



残念ながら、片思いのてんまさんでした。



カラスケくんの“忙しい理由”
いつか聞けると良いのですが…