マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

苦い食べ物・苦い飲み物、そして苦い薬 その1

今日はUSAさんが手料理を振る舞ってくれるとのことで、USAさん宅に遊びに来たまゆさん。



一緒にご飯が食べれないにゃこさんは、そばで“ぷーすか“お昼寝中です。


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「もうちょっと待っててね〜。
あたし緑のお野菜大好きー!
まゆちゃーん、ピーマンは食べられるよね?」



「ピーマン?生は嫌い。苦いの嫌っ。でも天ぷらは大好き」



まゆさんは好き嫌いが多いので、USAさんから確認が入ります。



「じゃあゴーヤは?」



「苦いのが感じないくらい細かく切って。そんで揚げるか、くったくたに炒めるかにして」



「えー、ゴーヤの味がなくなっちゃうじゃん」


緑の野菜が好きなUSAさんは、ブツブツ言っています。



「うぇ、にっが。やっぱビールって苦いわ。
もうこれいらない」



ご馳走になっているとは思えない口をきいている、相変わらずのまゆさんです。


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苦い味が苦手なまゆさんは、苦い味が多い漢方薬も上手に飲めません。



漢方に詳しいくせに、漢方を飲むのは苦手なのです。



まゆさん曰く。

「あたしはね、植物を見ているのが好きなの。色んな種類の植物のことを知りたいの。

そんでその植物たちが薬になっていく工程を見るのも好きなの!なんかさ、ワクワクしちゃうんだよね。

この植物が薬になるなんて〜って。

でも薬になったとたん、ただの苦くて臭い粉とかになるじゃん?そうすると興味なくすじゃん?」




「とても薬屋で働いている人間とは思えないわね」



「そんでゴーヤが苦くて食べられないのに、漢方薬なんて飲めるわけないじゃん。
黄連なんて飲めるわけないじゃん。

思わない?イライラしちゃう日々が続いたって絶対飲まない。臭いしさぁ」



黄連とは炎症やイライラ、不眠に効く“苦いの代表”のような漢方薬です。



「臭いっていうけど、あたしなんかは漢方薬の香りにも薬効があるような気がするけど…

いい匂いのもあるじゃない?
結構薬の匂いを嗅いでると、落ち着くのよね」


食欲を増進させる漢方薬や、ストレスなどに効果がある漢方薬は、独特な香りを持つものが多いです。



「それは薬によるし、人にもよるよね。にゃこもなんだか知んないけど、漢方の匂いを嗅ぎたがるし」


陳皮やハッカなど香りがある漢方薬には、その匂いで癒される人もいるようです。



「漢方薬特有の匂いを嗅いだり、苦味を感じたりすると、よく効く気がしてあたしはむしろ好きかも」

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漢方薬の匂いに興味のある、ねこさんたち


「そういう人もいるだろうね。漢方薬には苦いもの以外にも甘いものや辛いもの、そして塩辛いものや酸っぱいものもあるけど…

でもあたしは、けっこう全部飲むの苦手」



「漢方薬が苦手な人がいるのは分かるけど、薬剤師という立場上、そんなんじゃ服薬指導しても説得力なくなるじゃないの」



「えへへ、だから内緒にして」



「だめだめゴーヤで慣れていこ。少し太めに切っておくね」



「やだ、美味しく食べたい」



「こいつはさぁ」


次回へ続きます。