今日はUSAさんが手料理を振る舞ってくれるとのことで、USAさん宅に遊びに来たまゆさん。
一緒にご飯が食べれないにゃこさんは、そばで“ぷーすか“お昼寝中です。
「もうちょっと待っててね〜。
あたし緑のお野菜大好きー!
まゆちゃーん、ピーマンは食べられるよね?」
「ピーマン?生は嫌い。苦いの嫌っ。でも天ぷらは大好き」
まゆさんは好き嫌いが多いので、USAさんから確認が入ります。
「じゃあゴーヤは?」
「苦いのが感じないくらい細かく切って。そんで揚げるか、くったくたに炒めるかにして」
「えー、ゴーヤの味がなくなっちゃうじゃん」
緑の野菜が好きなUSAさんは、ブツブツ言っています。
「うぇ、にっが。やっぱビールって苦いわ。
もうこれいらない」
ご馳走になっているとは思えない口をきいている、相変わらずのまゆさんです。
苦い味が苦手なまゆさんは、苦い味が多い漢方薬も上手に飲めません。
漢方に詳しいくせに、漢方を飲むのは苦手なのです。
まゆさん曰く。
「あたしはね、植物を見ているのが好きなの。色んな種類の植物のことを知りたいの。
そんでその植物たちが薬になっていく工程を見るのも好きなの!なんかさ、ワクワクしちゃうんだよね。
この植物が薬になるなんて〜って。
でも薬になったとたん、ただの苦くて臭い粉とかになるじゃん?そうすると興味なくすじゃん?」
「とても薬屋で働いている人間とは思えないわね」
「そんでゴーヤが苦くて食べられないのに、漢方薬なんて飲めるわけないじゃん。
黄連なんて飲めるわけないじゃん。
思わない?イライラしちゃう日々が続いたって絶対飲まない。臭いしさぁ」
黄連とは炎症やイライラ、不眠に効く“苦いの代表”のような漢方薬です。
「臭いっていうけど、あたしなんかは漢方薬の香りにも薬効があるような気がするけど…
いい匂いのもあるじゃない?
結構薬の匂いを嗅いでると、落ち着くのよね」
食欲を増進させる漢方薬や、ストレスなどに効果がある漢方薬は、独特な香りを持つものが多いです。
「それは薬によるし、人にもよるよね。にゃこもなんだか知んないけど、漢方の匂いを嗅ぎたがるし」
陳皮やハッカなど香りがある漢方薬には、その匂いで癒される人もいるようです。
「漢方薬特有の匂いを嗅いだり、苦味を感じたりすると、よく効く気がしてあたしはむしろ好きかも」
「そういう人もいるだろうね。漢方薬には苦いもの以外にも甘いものや辛いもの、そして塩辛いものや酸っぱいものもあるけど…
でもあたしは、けっこう全部飲むの苦手」
「漢方薬が苦手な人がいるのは分かるけど、薬剤師という立場上、そんなんじゃ服薬指導しても説得力なくなるじゃないの」
「えへへ、だから内緒にして」
「だめだめゴーヤで慣れていこ。少し太めに切っておくね」
「やだ、美味しく食べたい」
「こいつはさぁ」
次回へ続きます。