人間の心に巣食う“悪の心”を餌にしている鬼。
節分になると、ポ村にも鬼がやって来ます。
鬼に対しては、ポ村の周辺をウロつく悪しきものさえも恐れ、近くに鬼の気配を察しただけでも逃げて行く。
そんな鬼が今年もポ村に現れ…たのですが。
鬼はなぜかポ村に入る前に、きびすを返そうとしています。
「つかまえたー!」
「フォ!?」
鬼は突然後ろから、何者かに羽交い締めにされてしまいました。
「鬼交代だよ?」「フォ?」
鬼ごっこ?
「今日は節分なのに、今どっか行こうとしてたでしょ?ダメだよ。ちゃんとポ村に来て。お豆用意してあるんだから」
実はポ村を見た瞬間、鬼は去年まゆさんたちにその身長を生かした仕事を、色々やらされそうになったことを思い出してしまったようです。
どうやらそれが、トラウマになっていたみたい。
そのためポ村を見た途端、つい引き返そうとしてしまったようです。
でもそんな鬼をてんまさんはつかまえたまんま、決して離しません。
後ろから羽交い締めにしたまま、前に押し出すようにして歩いています。
「にゃこちゃんも一緒につかまえて」
「にゃんたたっ」
てんまさんのそばにいたにゃこさんは、言われるがまま鬼を追いかけて飛び乗ります。
「フォ?」
ねこさんはそうやって何かを追いかけて、捕まえる遊びが大好きです。
鬼に乗っかって、一生懸命ツノを掴もうとしている。
「はい、どんどん歩いて。それでみんなでお豆食べよう。ね?お腹減ったでしょ?」
「フォ…」
人間の心に巣食う“悪の心”だけではなかなか満腹にならない鬼は、節分のお豆を食べて一年分の栄養を摂取しているのです。
そのとき鬼は、何かを見てビクッとしているようでした。
一方にゃこさんは、嬉しそうに声をあげています。
「まゆちゃんにゃ!」
「鬼っ!お前やっと来たのか。遅いぞ!なんだ?のろのろ歩いて。疲れてんのか?」
鬼はまゆさんに引っ張られ、どこかに連れて行かれてしまいました。
続きます。