海外から定期的に入ってくる、おしゃれ風の食べ物。
「へぇ…
今流行ってんだ、それ…
ふうん…」
ポ村で農業を営むケイヒさんは、見たことが無い新しい食べ物には興味がありません。
彼は食べ物を含め、冒険が出来ないタイプなのです。
食べたことが無いものは、食べれない。
顔にも出てしまうし、飲みこむことも無理。
それは薬も同様です。
心配症なところがあるため、しっかり薬をストックするのにも関わらず、飲むのが苦手。
やはり薬には苦いものや、匂いがあるものが、それなりにあるからです。
それはもう、ケイヒさんが苦手な“肉の脂身”所のまずさではありません。
ケイヒさんはいつも、薬を口に入れると“オェッ”となってしまいます。
ねこさんの中には漢方等の匂いを嗅ぎたがる子もいますが、ケイヒさんは匂いを嗅いだだけで吐き気がしてきます。
しかしストレスなどにより、すぐに胃痛を起こしてしまうケイヒさんには、胃薬が欠かせません。
ケイヒさんは痛いのも我慢出来ないのです。
薬の中では特に顆粒薬を服用するのが、不得意です。
顆粒薬を飲む前には口の中に薬が広がらないよう、一応あらかじめ袋の隅にまとめておきます。
そしてザラザラとした顆粒薬が口に残らないよう、息を止めながら一気に流し込む。
だけど鼻に変な匂いが残る。
喉に薬が詰まっている気がしてモヤモヤする。
奥歯の方にいつまでも薬が残る感覚がある。
いくら水を飲んでもそのまま薬が、流れていかない気がする。
顆粒薬が苦手な場合は、薬の剤形を変更して貰うことも出来ると聞いたけど…
ケイヒさんは上手にお医者さまに自分の意見を、言い出せないタイプです。
お薬を貰う時も、あまり知らない人に会わないように、マメチュー先生に訪問して貰う事が多い。
それに錠剤も大きさによりますが、顆粒薬よりも喉に詰まる感じがして、やっぱり苦手なのです。
今日はマメチュー先生の薬局に、お薬についての電話相談。
「お薬飲めないにゃの?」
「わっ、何だよ、にゃこ」
「ねえ、そうにゃの?」
「ちょっといいから、今はあっち行ってて」
「にゃむ…」
突然出て来たにゃこさん。
どうやらセラピーキャットとしてのお仕事の帰りに、窓から上がり込んだみたいです。
(窓があったら入りたい:ねこ)
ケイヒさんは気にせず薬局にお電話。
“はい。マメクスリカフェ、パゴロウと申します”
電話が鳴るのを事前に察知できるパゴロウさんが、かけた瞬間対応してくれました。
パゴロウさんはケイヒさんと同じく、人見知りで心配性。
似たタイプだからでしょうか。
パゴロウさんにはひどい人見知りの症状が出ないみたいです。
“ケイヒさんですね。
どうなさいましたか?”
【ケイヒさんのおくすり相談】
苦手な顆粒のお薬を上手に飲みたい。
“顆粒薬の飲み方ですね”
顆粒のお薬をよりスムーズに服用するには、ほんの少しのお水を加えて、団子状に練ってから飲むとか、水以外のものと混ぜて飲むなどがあります。
ねこさんたちもお薬が苦手な子が、多いと聞きます。
なので他のものと混ぜてから、飲ませているとのことですよ。
パゴロウさんはねこさん好きらしいケイヒさんのために、猫の話題をする。
しかし電話に耳を付けて聞いていた、にゃこさんがそれに反応。
「にゃこも混ぜてもらってるにゃ。
一緒にゃ」
「ん?なんだ、にゃこも薬が苦手だから、さっきなんか言ってたのか」
「そうにゃ。でもお薬混ぜて貰っても、こっそり分けて“ペッ”するのにゃ」
“混ぜるものによっては、かえって苦みが増すこともあるので、やっぱり無理だった場合はまた相談して下さい”
そしてやはり試して欲しいのは“らくらく服薬ゼリー粉薬用”
顆粒・散剤・漢方薬をゼリーに混ぜて服用するタイプです。
他には錠剤やカプセルをゼリーに包んで、服用するタイプもあります。
混ぜるタイプは容器にゼリーを入れ、その上にお薬を乗せてよく混ぜます。
かき混ぜたらスプーンですくい、かまずにゴクッと飲みこんで下さい。
それを電話口で聞いていたにゃこさん。
マメチュー先生が幼い子どもへの薬の飲ませ方を、その母親にアドバイスしていた…
その事を思い出していました。
(そうにゃわ)
“雰囲気作りが重要です”
気持ちが落ち着くようなリラックスしたムードの中、お薬を飲ませてあげて下さい。
そしてお子さまがお薬を飲めたら褒めてあげて下さい。
「にゃむ…」
にゃこさんはケイヒさんの方に、トコトコ近寄って行く。
「おくすり飲めていい子にゃ」
“フンイキつくりにゃ”
突然てしてしと、にゃこさんに背中を撫でられるケイヒさん。
「うん?なんだよ、母親かよ、お前は。
まだ飲んでないし」
「にゃ?そうにゃった?」
にゃこさんフライングだったようです。