ポ村の住民、トビーくんとペンネくんが楽しそうにお話をしています。
「ボクね、最近お医者さんに憧れてるんだぁ」
「それ分かる~。
こないだ見たアニメのドクター。
良かったよね!」
「ペンネくんも見た?
むつかしい手術をさー。
よゆーで成功させててさー。
格好よかったよね」
「うん!
チョー格好よかった!」
子どもさんたちが、憧れる職業であるお医者さん。
でもそれ以上に親御さんたちが、子どもに将来なって欲しい職業でもあります。
人を助け、尊敬される。
そして何よりお医者さんは平均より…
やっぱり収入は、無いよりはある方がいいですものね。
「昨日のドラマのナース…見ました?
可愛くなかったですか?」
オウギさんが勤める薬局でも雑談。
「むむ、チョウジさん。
ナースがお好きなら、病院薬剤師になれば良かったじゃないですか」
オウギさんの後輩であるチョウジさんは、女性薬剤師のロクジョウさんにあきれ気味で言われています。
「あ…いや。ロクジョウさん。
今のはですね、あくまでもドラマの話でして…」
オウギさんは二人のやり取りをジッと見ている。
「何ですか?オウギさん」
「憧れられないなって思ってさ」
「何ですと?
僕のことですか?
失礼な、そんなはっきり」
「いや、薬剤師のこと」
「薬剤師?
ああ~。そりゃあねぇ?
お医者さんとかと比べたら、ねえ?」
「ロクジョウちゃんさぁ。
薬男子ってどう?」
「えっ…え…?あ…ええと…」
「歯切れ悪っ」
質問に困り、目に見えてうろたえるロクジョウさん。
リアクションが素直です。
「無くはないけど、薬剤師のドラマとかってほとんどないからね…
理系の仕事なのにさ。
こんなに憧れられないものかね?
思わない?
学生時代もさぁ、科学クラブに入ってべっこう飴とか作ってたけど、あれも憧れられなかったなぁ」
「でも可愛いですよ。
そういう男の子たち。
べっこう飴も貰いましたし」
「憧れか…
オウギさんは、イチイさんに憧れているじゃないですか」
「はぁッ!?
何ですかそれ?
憧れてませんけど?」
「あれ?
そうですかぁ?
そうなんですかねぇ?」
「…なんだよ、それ。まぁいいや…
それより聞いていい?
ロクジョウちゃんは何で、薬剤師になろうと思ったの?」
「はい?私ですか?
あの…その…大した理由じゃ無いので…」
「憧れて薬剤師になったわけじゃ無いって事でしょ?」
「あの~、あのですね。
資格が欲しかったんです」
「資格?なるほど。
資格があれば安心だもんね。将来的に」
「結婚して出産しても、資格があれば仕事復帰して、働けるかなって…
あっ、だけど薬剤師のお仕事は、ちゃんと誇りを持ってやっていますよ?」
「知ってるよ。俺もそうだし」
「もちろん、僕もです」
「チョウジも薬剤師を目指した理由、聞いて欲しそうだな。
実家が薬局なんだっけ?」
「はい、小さな薬局なんですけど。
それでも小さな町で愛されている、自慢の薬局です。
あと、そもそも理系得意でしたし、僕」
「へぇ。
チョウジも地元で愛されるといいな」
「へへっ。はい。
それでオウギさんはなぜ薬剤師に?」
「俺?」
次回へ続きます