です。

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

てんまさんの妹、しょうまさん その1

“カタ、カタカタカタ…”


村はずれの草むらで、震えている何か。



“カタカタカタ”


それは、ポ村に時折現れる不気味な存在である“カゲ” 

そして、そのカゲに囲まれているダンゴムシでした。

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かわいそうにダンゴムシは、助けを求めるように、怯えて縮こまっています。


“こわいこわいこわい、だれか…”



タンゴのように丸まることすら忘れて、縮こまっている。



人がほとんど通る事のない、ポ村の村はずれ。

助けに来てくれる人など…





「ねーえー!」



“!?”


突然大きな声がこだまし、カゲと震えていたダンゴムシが振り返る。



「そんな所にいると、人の邪魔になるよ?」




声の主は邪魔と言っていますが、ここは村はずれの草むらなので、ホントは邪魔になるはずはありません。



そんな事実は気にする様子もなく声の主は、カゲとダンゴムシの方へ向かって行きます。



「よいしょっと」



声の主はダンゴムシの方に手を伸ばし、ヒョイと抱き上げます。



震えていたダンゴムシは思わず、声の主を見上げます。



“だあれ?”

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声の主は、何となくてんまさんの雰囲気を纏っている妹のしょうまさんでした。



しょうまさんはそのまま、カゲの前に立ちはだかります。



「言っていい?あなたたちさ。
そうやって心にダメージを与えて、病人増やすのやめてくれない?」



“てんまちゃんじゃないけど…
なんか似ている”

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「この子が病気になったら、医療費とか払ってくれる?

そんな経済力あったりする?」



「ないでしょう?ないならねえ」

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しょうまさんは、カゲにアルコールスプレーをかけました。



「わあ、ホントに消えた。
ダンゴちゃん、見て見て!
カゲは消えたぞ。もう大丈夫だ!」



目の前から不穏な空気を漂わせていたカゲが消えていきましたが、まだダンゴムシは震えていました。




カゲが消えた安心はあるものの、先ほどの恐怖が残っているようです。



しょうまさんは、ダンゴムシのそばを少し離れていく。



「ダンゴちゃんここ来てごらん、小川だよ。

この村の水ってきれいだよね」

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“この村って水だけじゃなくて、空気もすごく澄んでいる。

だからなのかな。
持病の喘息の症状が、軽くなるのを感じる”



カタカタ…カタ…タ…


ダンゴムシの震えも、少しずつ止まってきました。



ポ村の癒しの空気が、ダンゴムシの心をいやし始めているようでした。



それでもカゲに囲まれてしまったせいで、相当心にダメージを受けていたダンゴムシ。


その恐怖のせいで…
さっきまでダンゴムシは、心につけられた生命維持装置を、自ら外そうとしているように見えました。



心が無くなった、体があるだけの存在になろうとしている…




自分で自分の心や身体を殺す。

そんな愚かなことをするのは、人間だけで十分です。



“姉のてんまなら…
あの母親違いの姉なら、ツラそうにしている者たちから話を聞き出すのは、得意なんだろうな。

人見知りのくせに、弱っているものには優しいから…

あたしには、よそよそしいくせにさ”



「ダンゴちゃん。お水飲む?
冷たいよ。なかなかおいしいよ」



ダンゴムシはまだ、心が落ち着いてはいないようでした。


「あたしはね…
あなたのために、お水をわざわざ持って行ってあげたりはしないからね?」



ダンゴムシの震えは止まっているようでしたが、反応はなく静かに固まっていました。



「ホントに動かなくなっちゃった。
大丈夫かい?
どうしよ、昆虫の薬ってあるのかな?」



サワサワサワ…


困っているしょうまさんの体を、フワリとポ村の優しい風が通り抜けて行きました。


“やっぱりこの村、心地良いな”



「仕方ない。よいしょお」



しょうまさんはダンゴムシの隣に座り、自分で水を飲みに行く元気が出るまで、そばにいることにしました。


そんな時ー。



“クンクン、にゃほにゃほ”


「ん?」


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にゃこさんが、しょうまさんの前にひょこひょこと現れました。

続きます