7月7日はポ村の隣に存在する、ねこ森町で七夕祭が開催される日です。
夕暮れ時。
ねこさんたちがお祭りの会場に、集まり始めていました。
「今日は天の川、見えるにゃろか」
ねこさんたちはモソモソと、空を見上げながらお話しています。
かつては、88星座の中の一つだったというねこ座。
いつの間にか88星座から、消えてなくなってしまったのだそうです。
ねこさんたちは、88星座だけではなく、12支にも入れて貰えていません。
仕方がありません。
他の有名な星座を見て、我慢することにします。
でもお空を見上げてみると…
残念ながら今日は、曇りのようです。
「にゃむぅ、雲のやつがお空に居座ってるにゃ」
「短冊におねがいごとするにゃ」
“晴れますように”
ずい分、急なお願いです。
“可愛がってくれるおうちのパパさん、ママさんがいつも楽しそうにしていますように”
“おいしいご飯が食べられますように。
パパやママとずっと一緒に食べられますように”
“おともだちのねこさんたちと、いっぱい一緒に遊べますように”
ねこさんは文字が書けないので、短冊を握りしめて心の中でお願いします。
ねこさんたち、みんな一生懸命お願いします。
「お願い聞いてくれるきゃなあ?」
七夕飾りは、ねこさんが遊びたくなるようなものばかりです。
お願いより、遊びに夢中になってしまったからかでしょうか…
「ぜんぜんお空、晴れないにゃあ」
ねこさんたちは、お空を見上げてさみしそうに呟きます。
そんな時、にゃこさんが何かをジッと見つめていました。
「きれいな夜空にゃあ」
「にゃ?まだ曇ってるにゃよ」
まだお願いを聞いてもらっていません。
空は曇っています。
でもにゃこさんが見つめている方向を、見てみると…
そこには、きれいな黒猫さんがいました。
その黒い被毛はまるで、夜空みたいです。
そして黒い被毛の中をよく見てみると、あちこちに白い模様が散らばっています。
お星さまと言われた夜空模様のねこさんは、なんだか分からないといった、顔をしています。
「なんにゃか分からないけど、ここに遊びにきたんにゃ。
一緒に遊んでにゃ」
「にゃ?」
“ねこさんたちと、いっぱい一緒に遊べますように”
「にゃ!遊ぶにゃ」
七夕の夜。
早速、お願いごとが一つ叶ったようです。