マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

領土争い

まんまる、まるの、シルエット。



ねこのどろちゃんです。



高い木の上に登って、くつろいでいます。



まんまるのどろちゃん。
見ているとコロンと転がり落ちてきそうで不安になるのですが、不思議と安定しています。




その木の上から、草原の上をチョロチョロとうごめく何かを見つめています。

にゃこさんです。


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にゃこさんはどうやら、ひとりで歩き回りながら、ブツブツ呟いているようです。



“クンクンクン”



「アイツの匂いがすんにゃ。

この辺にいるはずにゃのに…

隠れているのにゃろか。

また何か迷惑かけたり、してないにゃろか」




どうやらどろちゃんが近くにいることを、匂いで察知しているみたいです。



にゃこさんはいつでも、ポ村の人々が心配でなりません。




一方探されている方のどろちゃんは、微動だにせず、ブツブツ言いながらチョロついているにゃこさんを、見下ろしています。




「隠れていないで、さっさとにゃこの前に現れるにゃっ!

そんで今日は、にゃこと勝負するにゃっ」



にゃこさんはどろちゃんを、ライバルだと思っているみたいです。




ねこさん同士の勝負。




いわゆる縄張り争いです。


ねこさんは相手がどんなねこさんだろうが、縄張り争いをしてしまう宿命…



「ここは、にゃこのとこにゃ!」




勝負で勝ったねこさんが…

戦う男たちが、自分の領土を広げられる。




クンクンクン…


「近いっ近いにゃ。
絶対この辺にいるはずにゃ」



にゃこさんはどろちゃんを見つけるため、辺りを見回しています。



「にゃむ?なんにゃ?この大きい影…」

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にゃこさんは、どろちゃんが登った木の影に気付き顔を上げる。

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「ばっばっ…化け物にゃー!」



相変わらず、ねこさんは単純です。



“対峙するねこが自分より、高いところにいる”



ただそれだけのことなのに、高いところにいる相手のねこさんが、とても大きく見えてしまう。




「にゃわ、にゃわわわわゎ…」



「む?なんにゃて?
誰が化け物にゃて?」



どろちゃん木の上から、下りて来て地団駄。


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どろちゃんは先程まで微動だにしなかったのに、失礼なことを言われた途端、おかんむり。



「なんにゃぁ…
化け物じゃにゃくて、お前きゃっ」



「そうにゃ。どろちゃんにゃ」




「そんなところで偉そうにして。

また泥棒を働いているにゃね?

そこは元々にゃこさんの席にゃ」





「泥棒?何でにゃ?

先にこの席にいたもの勝ちにゃ。

どろちゃんが勝ったんにゃ」




「むんにゃぁ!!それにゃら勝負にゃ!

お前に勝って、その席取り返すにゃ!」




「めんどくさいやつにゃね」



どろちゃん、テケテケと走り回る。



「待てっ!逃げるにゃ」



どろちゃんが去って行った事で、にゃこさんのいう“席”が空いたというのに、勝負にこだわっているため、にゃこさん気付いていません。

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どろちゃん、突然のUターン。


にゃこさんのお手々から漂う、漢方の香りに飛びついて来ました。



今朝まゆさんのお薬をいじくって、にゃこさんは怒られたばかりです。



どうやらどろちゃんは、漢方薬の匂いが好きみたい。


クンクンクン


夢中で嗅いでおります。

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「にゃきゃっ!お手々離すにゃっ!」



「もう、いやにゃあ~」



しっぽ巻いて逃走するにゃこさん。

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結局本日も完敗。


領土は1ミリも奪い返せませんでした。



「今日はやられたけど、次は頑張んにゃ!」