です。

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

薬のサイズ

てんまさんはポ村の小さな公園で、高齢者の方たちと井戸端会議をしていました。
 

「お茶飲むかい?」


「お菓子食べる?

お漬物もあるわよ」


「やったぁ。

ありがとうございます」


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みんなで持ち寄った食べ物をゆっくりと食べながら、ペチャクチャと楽しくおしゃべり。


とても和やかな時間です。


みなさん、ホントにとてもゆっくり食べています。



年齢を重ねると嚥下機能が低下し、食べ物が飲み込みづらくなります。


加齢によって喉の筋力が低下していき、飲み込む機能も衰えていってしまう。


そのため毎年お正月になると、高齢者がお餅を喉に詰まらせてしまう事故が、多発しているのだと思われます。



「わたし茶碗蒸し持ってますよ。
召し上がります?」


「茶碗蒸しなんて持ってるのかい?
てんまちゃんのお手製?」


「へへ、そうですよ。
おいしいですよね、茶碗蒸し」



「食べるのに楽で良いよね。
そうそう薬なんかはねぇ。
最近飲み込みづらくって」


「分かるわ。
別に詰まるまではいかないけど」



「そうそう。
なのに飲まなきゃいけない薬が多くって。

一気には飲めないから仕方なく、一粒ずつ飲んでいるよ」


「てんまちゃん、錠剤って小さくはならないのかしら?」


「薬が服用しづらい時は、粉薬など薬の剤形を変更することは出来ますよ。

でも…」


「でも?」


「実は薬ってでんぷん等を足して、わざと大きくしてあるんですよ」


「どういうこと?」



薬は有効成分だけでは無く、身体に無害な添加剤が混ぜてあります。


実は薬一粒のうち90%以上が、害のない成分で形成されているのです。


「一体どうして?」



「有効成分のみで薬を作ると、一粒が小さくなりすぎてしまうんです」


「仁丹みたいな感じ?」


「飲みやすくていいと思うんだけど」


「それなら一気に複数飲めそうだしね」


「だけど薬が小さすぎると、マイナス要素も出て来てしまうんですよ」



薬があまりに小さいと目の不自由な方や手が不自由な方、そして高齢者の方などにとっては薬の扱いが困難になってしまいます。


例えば…

・小さくて薬が見えづらい。
・手が震えて小さな薬が掴みづらい、等…



「なるほど、そんなことまで考えて薬は作られていたのね」


「確かに薬が今より小さくなったら、困るかもしれないなぁ。

薬を落としたら、一生見つけられなくなりそうだ」


「床が薬だらけになってしまうわね」


「まぁいいかぁ。
それなら一粒ずつ飲めば。

時間はたくさんあるからね。
急いで飲む必要は無いし…」


「でも薬を服用する際にお悩みがあるなら、ちゃんと相談して下さいね」


「うん、そうするよ。
ありがとう」


てんまさんは穏やかに微笑みました。


「所で茶碗蒸しはまだあるかい?」


「ありますよ。
穴ぽこだらけの失敗作ですけど」


「えぇ?」


「いいじゃないの。

味が一緒なら」



「そうですよぉ」


「けっこうそういうの、こだわるタイプ何だけどな~」


「じゃあにゃこ食べる」



「銀杏入ってるからダメだよ」



「何でにゃ」


「仕方がないなぁ。
なら、わしが貰うよ」


「ふふ、じゃあはい、どうぞ」



「ありがとう、てんまちゃん」