マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

感謝ごっこ その2

前回のお話

身内の愚痴ばかり言う子どもたちと、にゃこさん。


そんな彼らに感謝の言葉を言い合うゲームをしようと、てんまさんが提案しました。



「感謝の言葉ってどんなの?」



「感謝っていうのはね。

いつもご飯を作ってくれてね、そしていつもお仕事をしてくれているパパやママに、ありがとうをする、みたいな事だよ」



てんまさんのお話を、目を丸くしながら聞いていた子どもたち。


互いに目を見あわせています。



「そっかあ。

ご飯作ってくれる、お仕事をしてきてくれる…
それって感謝することなんだよね」




日々受けている恩恵。



それを当たり前に思わず、誰が一番感謝すべき事に気付けるか競争です。



「カンシャ?
それってなんにゃろか…」



「にゃこちゃんにはちょっと難しいかな~。」



「にゃむっ。
そんなことないにゃ。
にゃこもカンシャ出来るにゃ」



「出来る?
じゃあね一番になった人にはご褒美あげる。
何がいい?」



「ごほうび?え~!
何がいいかなっ?」



「にゃこ、欲しいのあるにゃ」



「なに?にゃこ言っていいよ」



「にゃこね、いい子いい子が欲しいにゃ」

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「いい子いい子欲しいのね?
みんなもそれでいい?」



「キャハハ!いいよ~。
勝ったらてんまちゃんに、いい子してもらお~」



「にゃしっ!がんばんにゃっ!」



より色んなものに感謝出来た人には、いい子いい子のご褒美が貰えます。



「感謝探しの旅に行こー!」


「にゃぁー!」



みんなでポ村をお散歩しながら、感謝のカケラを探します。




「僕うっとうしいと思われるくらい、感謝してやるんだぁー」



「カンシャ…
見つかるにゃろか。
カンシャのやつ…
どこにあるんにゃぁー!」






全てが平等で大切な生物、植物の命を頂いていると頭では分かっているのに…



誰かがみんなの代わりに、その大切な命を食材にかえてくれている。


自分たちでは手を下さず、人任せ。



人は誰かが当たり前のようにしてくれていると、それに対して感謝する心が欠けてしまうようです。


そのせいだけではないのでしょうが、毎日大量の食材が無駄に処分されている。




ホントは貴重で凄く便利な電気・ガス・水も不自由なく使えるからか普段、有り難さを感じることは少ない。



有り難さを感じていたとしても、毎日イチイチ感謝をし、節約節約なんてのはやっていられません。




「あっ!」



「なに?トビーくん何か見つけた?」



「ううん思い出したの」




トビーくんが風邪をひいたときのお話です。



その時は喉が腫れてしまい、もの凄い激痛を感じていました。


ツバを飲み込むことさえ痛くてつらい。



“あれ?いつもどうやって、ツバ飲をみこんでたんだっけ?”



普段は身体が勝手にツバを、飲み込んでくれていた事に気が付きました。



病気をした時、ケガをした時にふと感じる、五体満足で健康に暮らせる有り難さ…


そして痛み、苦痛を感じる事のない日々の素晴らしさ…



「うん。
“健康で毎日過ごせる”それは感謝すべきことだよね」



「でしょ?てんまちゃんっ」



トビーくんは小さな事に気付けて“感謝出来る自慢”をしています。



わざわざポ村の中を探さなくても、自分の中にも感謝するべきものがある。




「みんな、ポ村の中にはなんか感謝するものあった?」



「うん、ある。
いつもポ村見守ってくれているそんちょー!」



「そうだね。
村長にありがとうだね」



「でもやっぱりポ村と言ったら、青々とした木々に感謝だよー。

おかげで毎日おいしい空気を、吸えてるんだもんね」



「日差しも穏やかだし。

お散歩してるとホント心地良い!」

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日差しが好きだと言われている宇宙巨人。



宇宙巨人とはポ村の民である大きなおじさん、ヤマオさんの親戚だと噂される、ポ村に伝わる伝説の巨人です。


これは都市伝説というか“空に浮かぶ巨人を見た”的な田舎の噂話です。

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太陽系の星々を見守る宇宙巨人も、なにやら感謝しているようです。



宇宙空間の温度は-270℃。


なかなかに寒い所。


そのため太陽の熱で暖まる宇宙巨人たち。


「太陽の存在は本当に有り難い」



青くてきれいな星が好きなため、宇宙巨人はちょくちょく太陽系に遊びに来ているようです。


「知っていますか?
あの青い星の中に、何か小さきものが動いて働いているのを…」



「小さきもの?」



「その小さきものは青い星を生かしもするし、オゾン層を破壊するなどして殺しもする」


「殺す?小さきものとは、病原菌なのでしょうか?」



「病原菌にならないよう、見守っているのです。

その小さきものたちは、青い星が意識しなくても、不器用ながら色々頑張っているんだそうですよ」



「そうなのですね」



「小さすぎて我々の目には見えませんが。

我々と同じで青い星もセルフケアせずに不摂生にしていると、不健康になる。

自分を傷つけ寿命を縮めるような行いをしないよう、こうしてたまに観察しに来ているのです」



「お好きなのですね。
あの青い星が…」



「せっかく美しく生まれてきたのですから、大事にして欲しい、そう思いまして」



「あの青い星が自分の身体を壊しはじめたら、アナタはどうなさるのですか?」



「さて、どうしましょう。

天罰でも下してやりますかね」


次回へ続きます