前回のお話
身内の愚痴ばかり言う子どもたちと、にゃこさん。
そんな彼らに感謝の言葉を言い合うゲームをしようと、てんまさんが提案しました。
「感謝の言葉ってどんなの?」
「感謝っていうのはね。
いつもご飯を作ってくれてね、そしていつもお仕事をしてくれているパパやママに、ありがとうをする、みたいな事だよ」
てんまさんのお話を、目を丸くしながら聞いていた子どもたち。
互いに目を見あわせています。
「そっかあ。
ご飯作ってくれる、お仕事をしてきてくれる…
それって感謝することなんだよね」
日々受けている恩恵。
それを当たり前に思わず、誰が一番感謝すべき事に気付けるか競争です。
「カンシャ?
それってなんにゃろか…」
「にゃこちゃんにはちょっと難しいかな~。」
「にゃむっ。
そんなことないにゃ。
にゃこもカンシャ出来るにゃ」
「出来る?
じゃあね一番になった人にはご褒美あげる。
何がいい?」
「ごほうび?え~!
何がいいかなっ?」
「にゃこ、欲しいのあるにゃ」
「なに?にゃこ言っていいよ」
「にゃこね、いい子いい子が欲しいにゃ」
「いい子いい子欲しいのね?
みんなもそれでいい?」
「キャハハ!いいよ~。
勝ったらてんまちゃんに、いい子してもらお~」
「にゃしっ!がんばんにゃっ!」
より色んなものに感謝出来た人には、いい子いい子のご褒美が貰えます。
「感謝探しの旅に行こー!」
「にゃぁー!」
みんなでポ村をお散歩しながら、感謝のカケラを探します。
「僕うっとうしいと思われるくらい、感謝してやるんだぁー」
「カンシャ…
見つかるにゃろか。
カンシャのやつ…
どこにあるんにゃぁー!」
全てが平等で大切な生物、植物の命を頂いていると頭では分かっているのに…
誰かがみんなの代わりに、その大切な命を食材にかえてくれている。
自分たちでは手を下さず、人任せ。
人は誰かが当たり前のようにしてくれていると、それに対して感謝する心が欠けてしまうようです。
そのせいだけではないのでしょうが、毎日大量の食材が無駄に処分されている。
ホントは貴重で凄く便利な電気・ガス・水も不自由なく使えるからか普段、有り難さを感じることは少ない。
有り難さを感じていたとしても、毎日イチイチ感謝をし、節約節約なんてのはやっていられません。
「あっ!」
「なに?トビーくん何か見つけた?」
「ううん思い出したの」
トビーくんが風邪をひいたときのお話です。
その時は喉が腫れてしまい、もの凄い激痛を感じていました。
ツバを飲み込むことさえ痛くてつらい。
“あれ?いつもどうやって、ツバ飲をみこんでたんだっけ?”
普段は身体が勝手にツバを、飲み込んでくれていた事に気が付きました。
病気をした時、ケガをした時にふと感じる、五体満足で健康に暮らせる有り難さ…
そして痛み、苦痛を感じる事のない日々の素晴らしさ…
「うん。
“健康で毎日過ごせる”それは感謝すべきことだよね」
「でしょ?てんまちゃんっ」
トビーくんは小さな事に気付けて“感謝出来る自慢”をしています。
わざわざポ村の中を探さなくても、自分の中にも感謝するべきものがある。
「みんな、ポ村の中にはなんか感謝するものあった?」
「うん、ある。
いつもポ村見守ってくれているそんちょー!」
「そうだね。
村長にありがとうだね」
「でもやっぱりポ村と言ったら、青々とした木々に感謝だよー。
おかげで毎日おいしい空気を、吸えてるんだもんね」
「日差しも穏やかだし。
お散歩してるとホント心地良い!」
日差しが好きだと言われている宇宙巨人。
宇宙巨人とはポ村の民である大きなおじさん、ヤマオさんの親戚だと噂される、ポ村に伝わる伝説の巨人です。
これは都市伝説というか“空に浮かぶ巨人を見た”的な田舎の噂話です。
太陽系の星々を見守る宇宙巨人も、なにやら感謝しているようです。
宇宙空間の温度は-270℃。
なかなかに寒い所。
そのため太陽の熱で暖まる宇宙巨人たち。
「太陽の存在は本当に有り難い」
青くてきれいな星が好きなため、宇宙巨人はちょくちょく太陽系に遊びに来ているようです。
「知っていますか?
あの青い星の中に、何か小さきものが動いて働いているのを…」
「小さきもの?」
「その小さきものは青い星を生かしもするし、オゾン層を破壊するなどして殺しもする」
「殺す?小さきものとは、病原菌なのでしょうか?」
「病原菌にならないよう、見守っているのです。
その小さきものたちは、青い星が意識しなくても、不器用ながら色々頑張っているんだそうですよ」
「そうなのですね」
「小さすぎて我々の目には見えませんが。
我々と同じで青い星もセルフケアせずに不摂生にしていると、不健康になる。
自分を傷つけ寿命を縮めるような行いをしないよう、こうしてたまに観察しに来ているのです」
「お好きなのですね。
あの青い星が…」
「せっかく美しく生まれてきたのですから、大事にして欲しい、そう思いまして」
「あの青い星が自分の身体を壊しはじめたら、アナタはどうなさるのですか?」
「さて、どうしましょう。
天罰でも下してやりますかね」
次回へ続きます