前回のお話
毎朝こむら返りを起こしてしまう事に、悩んでいるというUSAさん。
「芍薬甘草湯がこむら返りに効くの?
飲むタイミングって、こむら返りを起こしている最中?」
「ちげぇよ。
ほんの数十秒のこむら中の痛みくらいは、我慢しなさい」
「無理よ。
まゆちゃんはこむらの痛みを分からないから、そんなこと言うのよ!
痛みを感じているときの体感は、数十秒じゃないんだから」
【芍薬甘草湯】
こむら返りや運動時の筋肉痛に、よく使われる漢方薬です。
運動中や睡眠中に足がつる。
筋肉が痙攣して痛みが出てしまう、そんな方にオススメです。
睡眠中につりやすい方は、寝る前に予防的に飲むこともあります。
:注意:
心臓に疾患がある方。
甘草が血圧を上げるので、高血圧の方も注意が必要です。
:副作用:
息苦しくなったりだるくなるなど、服用後に気になる症状があった場合は、すぐに薬剤師に相談して下さい。
他、発熱、かゆみ、動悸、めまい等の症状がある場合も同様。
「芍薬ってあの芍薬?
さっき5月に芍薬が咲くとかなんとか」
「ちゃんと話し聞いてんじゃん。
そうその芍薬」
有名なことわざ
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花
「あたしのことを表したことわざね」
「……」
「まゆちゃんマユゲひそめてるにゃ」
綺麗な女性の姿や立ち振る舞いを、美しく清楚な花に見立てたことわざです。
「芍薬以外は実家にあったなぁ。
百合の花はけっこう花粉が凄いんだよね」
「花粉?」
「そう。
庭に生えてるみょうがを採ろうとすると、必ず花粉が洋服にベッタリくっ付くの」
「注意して採ればいいのに」
「してるさ。
でも途中でみょうが採りに夢中になっちゃって、またいつの間やら花粉がくっ付いてきちゃってんの」
「何だか目に浮かぶ」
「牡丹も昔は実家にあったんだけど、母親が庭掃除中に踏み潰したせいでなくなっちゃったの。
ピンクの綺麗な花を咲かせていたのに、可哀相に…」
「そのシーンも目に浮かんじゃう」
「それ以降、牡丹好きな母ちゃんは、近所のお寺に牡丹を見に行ってったっけね…
女性の信仰が厚いお寺には、よく牡丹が植えてあるんらしい」
「何で?」
「なんでにゃ?」
【芍薬・牡丹・百合】
婦人病の生薬として有名。
根の部分を薬として使用します。
:芍薬:
冷え性、皮膚のかさつき、アンチエイジング作用、月経不順や血の不足を補う薬として使用されます。
:牡丹:
頭痛、腰痛、便秘、月経困難。
お血をとる働きがあり、血の巡りをよくします。
:百合:
咳止め、精神安定
補足として“百合根”はカリウムが豊富。
高血圧予防になります。
さらに補足すると美しい女性を表したことわざの元々の意味は生薬の用い方の例えでした。
:芍薬:
すぐに気が立って、座らずに立ったままでいるような、そんな鎮静させる必要がある場合に使用。
:牡丹:
すぐに座りたがるため、血行が悪くなっている場合に使用。
:百合:
茎がしなやかで優雅に揺れる百合の花のように、ゆらゆらしながら歩くような、精神が不安定気味な場合に使用。
「あんたのことを表したことわざの元々の意味」
「……」
「USAマユゲひそめてるにゃ」