マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

薬箱のパッケージの色 その1

現在セラピーキャットとして、研修中のにゃこさん。


一応これはお仕事なのですが、今日も色んな人に抱っこして貰えてとっても嬉しそう。


「楽しいおしごとにゃ」


でもそろそろにゃこさんの集中力が、切れてしまうお時間。


「にゃま?
これってお薬箱にゃ?」


「そうよ」


「いっぱいお薬が入っているにゃ」


じっと薬箱を眺めています。


お仕事を途中で放り出したにゃこさんは、うろうろし始めてしまいました。


でもにゃこさんをむかえ入れて下さる方たちはみなさんお優しいので、ちょろちょろするにゃこさんを微笑ましく見つめています。



そんなにゃこさんがセラピーキャットとして伺うお宅は、高齢者の方が多い。


そのため、お薬を多く所有している方も多いようです。



「これは好きな色のお薬。
…これはよく分からにゃい色のお薬」

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「あなたは、お薬見るのお好きなの?」


まゆさんに関係しているものは、にゃこさんは何でも好きです。


じっとお薬のパッケージを観察していたにゃこさんは、あることに気が付きました。


“にゃこさんが好きな色のパッケージと、そうでない色のパッケージがある”


にゃこさんが好きな色は、青や緑です。


「このお薬の色は好きな色にゃ」


にゃこさんが木登りをする時にいつも見る、葉っぱの色。


お外でお昼寝する時のふかふかの、芝生で色。

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「この色のおくすりは何にゃ?」


「胃腸薬よ」


「にゃふうん」


“こっちのおくすりは、よく分からにゃい色にゃ”


「こっちの色のおくすりは何にゃ?」


「風邪薬よ」


「にゃほぉ。

じゃあ、あっちのおんなじような色のおくすりも?」


「そう、これも風邪薬。

胃腸薬とか風邪薬とか、不安だからいくつも買い揃えちゃうのよね」



にゃこさんはなぜ胃腸薬と風邪薬とで、パッケージの色が違うのかを尋ねてみました。


「あら、ほんと。
薬によってパッケージの色が違うのね。

凄いわね、にゃこさん。
そんな事に気付くなんて」


そう返事をされただけで、残念ながら質問に答えてはもらえませんでした。





ポ村訪問の帰り道、イチイさんは再びにゃこさんを見かけます。


セラピーキャットの制服を着ているにゃこさんは、ブツブツと何かを言っているようです。

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「にゃこさんが好きな色のパッケージは、胃のおくすりって言うやつにゃした。

…あんまり好きにゃにゃい色は…」



「おい、にゃんた」


集中して考え事をしていたにゃこさんは、突然頭上から声が聞こえたため、びっくりしてしまいました。


「何にゃ!
またお前きゃっ!」


「ねぇ…
その格好なに?」


「にゃむ?
にゃこさんは医療従事者にゃから、この格好をしてるんにゃ」


「そうなん?まじかよ」



「へぇ、セラピーキャットの研修生なんだ。

頑張れよ!

で、何をブツブツつぶやいてたんだ?」


にゃこさんは、お薬のパッケージの色について質問しました。


どうやらなぜ胃腸薬はにゃこさんが好きな色の青や緑が多くて、風邪薬はにゃこさんが好きじゃない色が多いのか疑問のようです。



「暖色系好きじゃないんだ?」


「だんしょくけい?」


「赤とかオレンジとか」


「あのぼんやりした色のことにゃ?」


「あっ!
ねこって俺たちと見えている世界が違うのか?

そうか…」


「にゃにそれ…
そうにゃの?
にゃこが見ている世界って、まゆちゃんが見ている世界と違うにゃの?」


「まゆちゃん?」


「にゃこさんだけ…ちがうにゃの?」


にゃこさんは、とても悲しそうな顔をしています。


「あのな…にゃんたたちには、赤とか見えない色があるんだよ」


「色…」

次回へ続く