マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ねこさんだって、癒してくれる薬箱

セルフメディケーションを推進する村長が、セラピーキャット協会の人をポ村に連れて来ました。


身体も…もちろん心も健康に暮らして欲しい。


そのためセラピーキャットとして、活躍出来るねこさんはいないか調査をするとのことです。



村長はキャットセラピーなどのペット療法も利用し、住民の心身をより豊かなものにしたいのです。


そのお話を聞いたにゃこさんは、さっそく立候補。


にゃこさんはみんなの役に立ちたいのです。



そこでセラピーキャット協会の方が、まゆさんとにゃこさんの元にやって来ました。

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「あの…
セラピーキャットってなんにゃすか?」


あんまりよく分からず立候補してしまったにゃこさんは、セラピーキャットについて説明をしてもらいます。



“医療認可はされていないけど、ねこさんが人に与える癒やしの効果は認められています。

ねこさんがそばにいることでリラックスし、ストレスが軽減したりする、それをキャットセラピーといいます”



「あなたたちねこさんの力を、貸して頂きたいと思っています」


「いりょう?」


「認可はされていないって」


「でもいりょうみたいな事にゃの?」



「セラピーってのが、薬や手術以外の治療・療法って事だから遠くはないと思うけど?」


「まゆちゃん、てんまちゃん、マメはいりょう従事者なんにゃしょ?


にゃこもそれみたいになるって事にゃ?」


「そうですね。
私どもはねこさんたちを、立派な医療従事者だと認識しております」


「にゃきゃっ」


「あのでも…
うちの猫は、セラピーキャットには向いていませんよ?」


「!!なんでにゃ?」


「ジッとしていられないタイプじゃん。

すぐどっか行きたくなるじゃん」


自由奔放なねこさんたち。


抱っこされている時に
“ご飯食べたい、遊びたい”
そう思ったらそちらに行ってしまいます。



それにねこさんは人も選びます。



女の子の方が好きです。


優しくて穏やかな人の方が好きです。


全く知らない人には、積極的に近寄りません。



「でもにゃこさんは、セラピーキャットになりたいんにゃ!

にゃこさんもなれるにゃ!」



「どうかねぇ」


「あの、まゆさん」 


「はい…」


「ねこさんがストレスを感じるほどには抱っこさせませんし、患者さんにはねこさんの扱い方も教えます。


甘えっ子の男の子には向いていると思いますよ」



「そうにゃって!まゆちゃんそうにゃって!」


「大人のねこさんが、甘えっ子の男の子って言われて嬉しいのか…

じゃあ協会の方にちゃんと正直にアピールしてみな」


「にゃし」


にゃこさん、セラピーキャット協会の方と面談。


セラピーキャットとしておしごとをするため、一生懸命アピールします。



「にゃこさんは肉球を触らせてあげます。

お鼻をツンツンしてもいいです。

抱っこされても大丈夫です」

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「お腹とシッポだけは、あんまりお触りしないで欲しいです。

グリグリ強めに撫でられるのも、ちょっといやです。


でも…でもいい子いい子されるのは大好きにゃす。


大好きないい子いい子を、みんながしてくれると思うと、とても嬉しいです。

ご褒美にカリカリを貰っても、ちゃんとまゆちゃんに食べてもいいか確認してから食べることにします。

それとにゃこさんの長所は可愛い所にゃと、そう聞いております」



「なるほど、分かりました」


「…にゃこさんは、セラピーキャットに向いていますにゃろか?」


「そうですね、一度お試ししてみましょう」


「にゃふっ!」


「えっ?いいんですか?」


まゆさんは心配そうにしています。


現れたのは、セラピーキャット協会の方と一緒に来ていたおばあさん。



にゃこさんは急に知らない人が現れたので、少しおどおど。


(このひとを癒やしてあげればいいのにゃろか?)


初対面のおばあさんを、いつもパゴロウさんを見つめている時みたいに観察。


(怖くはなさそうにゃ。

ちっちゃくてか弱そうにゃ。

にゃこさんが癒やしてあげなくちゃにゃ)


「あの、あの…」


にゃこさんは自分からおばあさんに、声をかけます。


「はい」


「にゃこさんを抱っこして貰ってもいいにゃすか?」



にゃこさんはおばあさんがニコニコしながら
“おいで”
と言ってもらえて嬉しくて飛びついてしまいました。


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「あらあら。

可愛らしいこと」


「にゃ~」


「自由にフラッとどこかへ行ってしまって長時間抱っこが出来なくても、こんなに懐いてもらえると嬉しいわねぇ」


ゴロゴロゴロ…


「にゃ~にゃ~」


にゃこさん自身も知らない人に撫でて貰うのは、悪くない事だと知りました。


すっかりにゃこさんも安心して、にこにこゴロゴロしています。


「セラピーキャットとして認定しても、良さそうですね」



「ホントですか?

こんなに簡単に?」


「はい」


「いいにゃすか?

にゃこさんもセラピーキャットとして、おしごとしてもいいにゃすか?」


「ただ当分の間は研修期間を設けます。

患者さんの方も最初から、受け入れてくれる方ばかりではありませんし…」


「当分の間…」


少し愛想の悪い人、声の大きな男の人など、色んな人に対して心を開いて、癒やしてあげなくてはいけません。


「どうですか?

出来そうですか?」


「にゃし!

がんばってみますにゃ!」


「よろしくお願いします」


まゆさんは、協会の人に深々と頭を下げました。


「こちらこそお願いします」


にゃこさんはセラピーキャットとして、研修することが決まりました。



にゃこさんでも誰かの役に立つ、そしてそんなお仕事が貰えたことがとっても嬉しい!



にゃこさんにもやりがい、生きがいが見つかりました。



しかし大丈夫でしょうか…


にゃこさんに務まるでしょうか…




「じゃあまゆちゃん、おしごと行ってくるにゃから」


「はい、いってらっしゃい」


心配していたまゆさんも、やる気になっているにゃこさんにをしばらく見守ってみることにしたようです。


「ねぇにゃこさん、聞いて」


「にゃふ?」


「ねこさんや他の動物たちにはね、先生や薬が治せなかったものを改善させるチカラが宿っているの。


不自由になった身体を再び動かせるようにしたり、心が疲れてしまった人を癒やしてあげる、そんなチカラ」


「にゃし」


「にゃこさんはと~っても大事な仕事を任されてるんだからね!

しっかりやるんだよ?」

「にゃっ!」
 

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にゃこさん、研修期間が長くなりそうですが、これからたくさんの人を癒やしてあげてくださいね。