マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

七草がゆ その3

1月7日。

トビー君、マメチュー先生
ケイヒさん、にゃこさんご一行は
春の七草摘みをするためポ村を散策。


ご一行はそのうちの5種類をすでに
手に入れています。


残るはホトケノザとセリの2つ。


しかし…


「あったね!ホトケノザとセリ」


「でも見ろ!
どっちも取りづらそうな
斜面に生えてんぞ」

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「ケイちゃん届く?」


「いやぁ
無理だと思うけど…」


一番体が大きなケイヒさんが
ホトケノザとセリをとるために
手を伸ばして採ろうとしてみます。

 
「うぅ~ん…」


「ケイちゃん
全然惜しくないよ
全く届いてない」


「だから言ったじゃん」


「しょ~がないなぁ
トビー君が登って
とってきてあげる」


それを聞いていたマメチュー先生は
慌ててトビー君を止めます。


「危ないからだめですよ
あれは諦めて他を探しましょう」


「危なくないよ、平気だよ!」


トビー君の一族は跳躍力がとても
優れています。


「寒いし他を探すより
あれをとる方が早いよ」


マメチュー先生の注意を聞かず
ジャンプ力を生かして
ピョンピョンと猛スピードで
ホトケノザとセリが生えている
斜面を登って行きます。


「トビー!
マメチュー先生が危ないから
下りて来いって!

他行こう!」


「にゃーにゃー!」


「だいじょーぶー!」


いくら身体能力が
優れているからといって
危険そうな斜面に一人で
行かせるのは心配です。


何しろトビー君はまだ
幼いのですから…


「ほらっ!
もう摘んでるよ!見て!」


「分かった、分かった!
すごい、すごい!
いいからもう下りて来いっ!
早くっ!
見ててこっちが怖いからっ」


トビー君は再び優れた跳躍力を生かし
器用に斜面を下りて来ました。


それを見守る事しか出来なかった
大人たちはもうハラハラです。


「ただいまっ!
ほらほらっ!

ちゃんと取れたよ!」


トビー君は本人の言う通り
危なげなく下りて来ました。


「怪我は無いですか?」


「うんっ!」


「トビーすごいにゃ!
とってもすごいにゃ!」


にゃこさんはトビー君に
憧れの眼差しを向けています。


「へへ、そうでしょ?
だから言ったでしょ?」


彼の小さな手には
ホトケノザとセリがしっかり
握られています。


嬉しそうにポーズをとるトビー君。


“七草摘み一行はホトケノザとセリを手に入れた”


しかしその瞬間…


「あっ…」


ポーズを決めてよろけたトビー君は
水たまりの上に転んでしまいました。


その拍子に持っていた
ホトケノザとセリを潰してしまう。


「!!!」

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トビー君は潰されている
ホトケノザとセリを見て
固まっています。


青ざめた顔で泥だらけのまま
ジッとしている。


転んで泥だらけになってしまった
事よりもせっかくの
ホトケノザとセリをダメにして
しまった事がショックのようでした。


みんなをガッカリさせてしまった事が悔しい…


そんな感じです。



トビー君は幼いながら
泣きそうになるのを我慢
していました。

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にゃこさんはそんなトビー君に
飛びつき、なぜだかトビー君より
先に泣いてしまいました。


「にゃきゃきゃきゃきゃきゃぁー!」


にゃこさんにはお水が苦手
なのにも関わらず
水たまりの中で、トビーくんに
抱きつき泣きじゃくる。


「にゃこ…ごめんね…
みんな…ごめんね」



「にゃきゃきゃぁっ!!」


次回へ続く