12月31日
まゆさん宅に遊びに来ているてんまさん。
にゃこさんも含め、三人で大晦日を過ごしていました。
今年は特別に夜の10時過ぎ頃、マメチュー先生が年越しそばを届けてくれるそうです。
「まゆちゃん、お夕飯どうする?」
「夜にお蕎麦食べるからね。
あっさりと簡単に済ませる?」
「にゃ!」
マメチュー先生、手作りのお蕎麦。
「あの人出来ない事ってあるのかね?」
「ホントだよね~」
二人とも普段は夜遅くにご飯を食べる習慣はないので、お蕎麦を凄く楽しみにしています。
大晦日の今日だけは、夜にご飯を食べても良い日。
「もうすぐ今年もおわっちゃうね」
なんて話ながら、マメチュー先生のお蕎麦をすする予定です。
今は大晦日の夕方。
まゆさんとてんまさんはお蕎麦を食べる前に、少し早いお夕飯を取ることにしました。
冷蔵庫にある残り物で適当に作ります。
「あれっ?牛肉残ってた……
長ネギもあるなぁ」
「まゆちゃん、まゆちゃん。
卵もあるよ?」
「にゃ!」
お夕飯は軽くしようと言っていたのに、ガッツリすき焼きを作ることにした二人。
二人とも食べることが大好きなのです。
春菊が無いのだけが玉にきず。
グツグツグツ…
「美味しそ~」
「いただきまぁす」
きれいにすき焼きを完食しましたが、〆のきしめんは一応我慢しました。
もちろんにゃこさんだけは体に悪いので、すき焼きを食べることは出来ません。
「何でにゃ!」
年越しそばは長生きをするため、大晦日に食べるのだそうです。
「お腹いっぱいになっちゃったね。
おいしいとつい食べ過ぎちゃう」
「多少腹いっぱいでも、日本人は年越しそば食べて長生きせにゃ」
「にゃ!」
でもお蕎麦には身体に良い成分が豊富に含まれていますし少しくらい食べ過ぎても、今日だけならセルフメディケーションの観点から言っても問題ないでしょう。
「蕎麦だけならそんなにカロリー無いよね」
「お腹いっぱいでも何だかんだ食べれちゃうのが、お蕎麦だもん」
「あたしさぁ。ざる蕎麦が一番好きなんだよね!」
「きゃっ!一緒!!
温かいのも美味しいけど、ざる蕎麦の方がお蕎麦を感じられるよね」
「やだな。
もう食べたくなってきちゃった」
改めてですが、お蕎麦は本当に栄養成分が豊富です。
ポリフェノール・ビタミンB群・必須アミノ酸
他には血圧を低下させる事で知られている、ルチン等も含まれています。
さらに刻み海苔を振りかけて食べれば、風邪予防に効果のあるビタミンAも摂取出来ます。
ただしねこさんには与えないようにしましょう。
「何でにゃ!」
ねこさんは、蕎麦アレルギーを発症してしまう可能性が高いそうです。
危険な蕎麦アレルギー。
マメチュー先生の知人であるポあねさんは、車に乗って蕎麦目当てに遠出する位お蕎麦が好きです。
アレルギーのお勉強していた時は危険性をより理解したのか、アレルギーの本を握りしめながら
「蕎麦アレルギーになったらどうしよう…」
と怯えていた位です。
いくら蕎麦が好きでもアレルギーを発症させないためには、ある程度控えなくてはいけません。
蕎麦アレルギーになると、アナフィラキシー反応があらわれる事があります。
軽症であれば抗ヒスタミン薬を服用し、回復出来ます。
しかし重症になってしまうと、死亡に至る可能性があるのです。
そんなお蕎麦が食べられなくてふて寝するにゃこさんにちょっかいをかけ、テレビを見てゴロゴロするふたり。
暖かな部屋で寛いでいると、まぶたが重くなってきてしまいます。
コンコン………
コンコンコン…
まゆさん宅の扉を叩く音が聞こえてきます。
「むにゃ?」
ボンヤリしながら時計を見つめると、すでに10時をわずかに回っていました。
「わっ!10時過ぎてるっ」
「って事はマメチュー先生だっ」
「お蕎麦だっ」
うつらうつらしていたらあっという間に、楽しみにしていたお蕎麦が到着しました。
走って玄関に向かいます。
「マメチュー先生!」
「こんばんはまゆさん、てんまさんも!」
「こんばんはぁ」
「にゃ!」
「にゃこさんもこんばんは」
「わざわざお蕎麦ありがとうございます」
急いでいるマメチュー先生から少し話を聞くと、他のお宅にもお蕎麦を配りに行くらしい。
「たいへんですねぇ」
でも忙しそうにくるくる動き回っている方が、マメチュー先生らしいです。
身体の小さなマメチュー先生ですが、足はとても速いのです。
「てんまぁっ、先生忙しいからもう行っちゃうって」
「えー!」
「じゃあ、今年もお世話になりました」
2020年はもう2時間を切っています。
年越しそばは、今年中に食べなくては…
「さっ、のんびりしてないで食べよ食べよ」
二人が食べたがっていたざる蕎麦です。
さらには天ぷらまで付いていました。
「うそぉ」
「やだぁ」
「食べすぎになっちゃう」
そんなことをきゃいきゃい言いながらも、テンション上がっています。
お蕎麦だけならカロリー0理論は崩れました。
次回へ続きます