12月に入るとマメクスリカフェも、クリスマスムードが漂い始めます。
パゴロウさんはマメチュー先生・クラゲさんと一緒にクリスマスツリーの準備中。
いつもクリスマスは、準備期間が一番ワクワクします。
「たまには本物のもみの木をって思うんですけど、意外と飾り付けが難しいんですよね。
本物のもみの木だと…」
「分かります。
昔、うちにも本物のもみの木があったんですけど、飾りがあまり映えなかったんですよね。
しかも枯らしてしまいました…」
マメチュー先生が用意したオーナメントは、ツリーによく合うようなかわいらしものが多いようです。
薬局に来局する子どもさんたちの気分を、盛り上げるためでしょうか。
「この飾り、手作りもあるんですよ」
「そうなんですか?すごいっ!」
未だに様々なオーナメントを見ているだけで、テンションが上がります。
クリスマスがなんたるかも、大して分かっていないのに…
でも分からないからこそ、無邪気にクリスマス雰囲気を楽しめるのかもしれません。
何だか童話の中に入り込んで、そこで行われているイベントに参加している気分です。
海外に行った事のない…
そんな井の中の蛙だから、そんな夢みたいな事を思うのでしょうか…
「パゴロウさん、お疲れ様です。
シュトーレンが完成しましたので、召し上がってください」
「ありがとうございます」
ドイツのケーキ、シュトーレン。
クリスマスまで毎日一切れずつ食べていきます。
徐々に濃厚になっていく、シュトーレンの味の変化を楽しみます。
このケーキを食べ始める頃は、特に心が弾みます。
“これから本格的に、クリスマスシーズンに入るんだ”
実際、クリスマスと言ってもやることは、誕生日とあまり変わりません。
違う所と言えば、街全体が日常とは違う雰囲気になっていく所。
そしてクリスマスに向けて、みんなで色々と準備していく所。
そんな違いがあるから、誕生日とは違った気分になるのかな?
サンタさんとか、もみの木とか、イルミネーションとか、リース作りとか非日常的でとっても楽しい!
サンタさんがイブの夜にトナカイのソリに乗って、いい子の元にプレゼントを届けに行く。
これもとっても素敵なお話。
クリスマスの雰囲気を、さらに盛り上げていきます。
子どもの患者さんたちが、薬局内に飾られているツリーを見て、ウキウキしているのが伝わってきます。
(嬉しそうにしてくれてよかった!)
俯いて元気無さそうに来局したのに、今は興味深そうに辺りを見回しています。
クリスマスの装いは、子どもたちの想像力をかき立てているみたいです。
でも………
クリスマス当日より準備期間中の方が、楽しい気分になってしまうのがボクのダメな所。
早くクリスマス当日にならないかな?
でも来たら終わっちゃうな…
いやだなぁ…
“楽しみにしているイベント当日”
早く当日になって欲しいけど、いざ当日がきたら嫌になってしまう。
そういう感情は結構“あるある”だと思います。
少しズレますが友人の話…
ある日友人は、好きなミュージシャンのライブのチケットがとれて、ライブ当日を凄く待ちわびてました。
“どれだけライブを楽しみにしているか”
毎日のように友人から聞かされていました。
「いよいよ明日!」
「楽しんで来てね」
それなのにいざライブ当日になると…
「昨日のライブはどうだった?」
「行かなかった」
「……えっ?
ええぇ?!何で??」
あんなに毎日ライブ当日を楽しみにしていたのに、一体どうして?
チケット代も払っているのに…
そして友人はその後も、ライブのチケットを購入し“ライブ当日を楽しみにしては結局行かない”というのを繰り返していました。
ボクも友人ほどでは無いですが、何となくその気持ちは分かります。
イベントごとは準備期間中の方が、フワフワと楽しい気分でいられる。
クリスマス当日なんて…
いつまでも来なければいいのに…
そしたらずっと、その日を待ちわびる事が出来るのに…
次回へ続く