マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ねこ森町へ迷い込む その1

あるところに飼いたくても住宅事情により、ねこを飼えない青年がいました。


「ねこねこねこ!
ねこ欲しい~!」


ねこさんを切望するあまり、ついペットショップを眺めてしまう。


更には地元に住む“町ねこ”さんの居場所も、さりげなくチェック。


世の中にねこ好きというのはやはり多いらしく、どの“町ねこさん”にもファンがついていて、皆がねこさんを見守っています。


“ねこを一人占めしたい”


そんな風に思ってしまうことも多少はありますが、概ねファンたちを好意的に見ています。


見守ってくれる方々がいると安心します。




そんなある日。


だいぶ高齢になっているであろう町ねこが、いなくなっていました。



そのねこの正確な年齢は分かりません。



でも物心ついた時から見かけていたねこ。



「えっ…うそ…毎日必ずここにいるのに…
ひょっとして?」 


思わず最悪の事態が、頭をよぎりました。



いやでも…

老猫が具合悪そうにしてたんなら、ファンの人たちが、病院につれていってくれてるのかもしれない…


とはいえ少し辺りを探してみる。



「おーいっ!あれ?なんだ、いるじゃん」



老いているせいで若干ヨボヨボはしていますが、元気そうです。


よかった…

まだまだいらぬ心配でした。


「あれ…?」


でも…


「しっぽが…」


いつもの老ねこのしっぽが、裂けて2本になっているように見えます。


「どうしたんだ?お前それ…

しっぽ割れてる、大丈夫か?」


青年の心配をよそに、老ねこは2つに裂けたしっぽをパタパタと動かしています。

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「あれ?これってひょっとして夢なのかな?」


長生きしたねこが妖怪・猫又になったという夢?


幼い頃から見てきたねこのしっぽが、2本になっているのは不思議ですが、今のところ恐怖はありません。


だって夢だし…


「それよりそのしっぽ、触ってみたい」


むしろ好奇心が勝っているようです。


その猫又がこちらをチラチラ見ながら、細い路地の中を入っていきます。


青年が路地を覗き込むと、猫又が奥の方へ進んで行くのが見える。


そして猫又はチラッとこちらを振り返り、再び進んでいく。



「おれ…どうしよう…」



戸惑いつつ再び好奇心の方が勝っている事に気付いた青年は、猫又のあとをついて行くことにしました。



アリスに出て来る白ウサギのような猫又。


どんな世界に連れて行かれるのだろう…



しかし行けども行けども、狭い道が続く。



ねこって奴らはホントに、こんな道ばかり歩いてんだなぁ。


そんなことを思っていたら猫又は“ヒョイ”と年寄りの割には、身軽に塀の上に飛び乗っていく。



「えっ、ちょっちょっと待って」



猫又に置いて行かれないように青年は、塀をなんとかよじ登って行きます。


「待ってって!」


ようやく塀をよじ登ったと思ったら、その塀より更に高い塀が目の前に立ちはだかってきました。


「何これ?」


何だかいつの間にか塀というより、キャットタワーのようなものに登っていた青年。


そのキャットタワーを、ヒョイヒョイと猫又は登って行きます。


「どこ行くんだろう。
このままついて行っても大丈夫かな?」



アリスとは違い、上へ上へとどこまでも登って行く。

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風が強めに吹いてきます。



少しずつ不安になり猫又がいるであろう方向を見上げても、光が眩しくて何も見えません。



「変な夢…」


夢でもさすがに、怖くなってきました。



青年は来た道を引き返したいと思う一方、ここまで来て今更…

という感情も湧いてきている。



仕方なく光の中を上へ上へと登って行く青年は、なぜだか強烈な眠気を感じていました。


「夢の中なのに…」



睡魔に勝てなかった青年はキャットタワーの途中で、座り込みウトウトと眠り込んでしまいました。


どのくらい時間が過ぎたのでしょう。


青年が目を覚ますと、先ほどのキャットタワーとは違う場所に来ていました。


「え?何ここ?」


辺りを見回しても猫又はいません。



遠くの方に水平線が見えます。


「ここ…湖?」


波のない静かな湖のようです。



青年はその湖に浮かぶ浮島?とはちょっと違うようですが、そんなような場所に来ていました。

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次回へ続く