本日はきのこ狩りです。
秋のきのこの収穫時期は10月から11月。
そんなきのこを目当てに、まゆさんとてんまさんはきのこを狩りに来ました。
にゃこさんもくっ付いて来ています。
「にゃ!」
背負い籠の中です。
「まゆちゃん、にゃこちゃん
ぽのこたくさん採れるといいねぇ」
「そにゃねぇ」
ぽのことは、ポ村の土地でしか生えてこないきのこです。
ソテーにしてバター醤油で食べるのが、一番美味しいとされています。
「お休みの日に朝からきのこ狩りなんて、なんかウキウキしちゃうよね」
「分かる、分かる」
「にゃんにゃん♪」
「きのこってさ、食べるとそんなに美味いと思わないのにさ。
きのこ狩りはしたくなるんだよね」
「えっ?まゆちゃん、美味しいと思ってないの?」
「だって…
きのこって好きな食べ物ベスト3に入る?
食わず嫌い王に出た時に、きのこを好きな食べ物の中に選ぶ?」
「食わず嫌い王?」
「好きな食べ物の中に、きのこは入らないんだけど…
秋の気持のいい時期に、外に出て食べ物を見つけに行く行為ってのは、なんか妙に楽しくなる」
「うん」
「イチゴもさ、酸っぱくてホントは好きじゃなんだけど、実家の庭に生えてるイチゴを見るとなんか食べたくなる」
「きれいで美味しそうな実がなっているのを見ると、すごく惹かれるのは分かる。
この世の全ての植物の実が、食べられればいいのになって思う」
「確かに確かに!」
「にゃしにゃし!」
「っていうかまゆちゃん。
きのこも好きじゃないんだったっけ?
食べてるよね?きのこ」
「いや、嫌いじゃないよ?
ただ低カロリーじゃん、きのこって。
満足感がないんだよね。
あの食べ物」
「松茸とかも興味ないの?
焼き松茸」
「食ったことないよ、そんなもん。
でも前にさ、ドラちゃんの漫画で松茸狩りの話を読んだことがあって…」
「ドラちゃんたちが松茸狩りに行くの?」
「にゃこさんも行くー」
「箱庭の中にスモールライトで小さくなってから入っていって、松茸を狩りに行く話」
「楽しそう」
「でしょ?その話好きなんだ。
けどさ、きのこって可愛らしいイメージがある反面、ちょっとさ…怖くない?」
「怖い?」
「実家の縁の下にさ…生えてたんだ、きのこが…
名前はわかんないけど…
全体的に白くて、頭の方は黄色っぽい気味の悪いきのこ」
「まゆちゃん、きのこ詳しいのに」
「未だにあのきのこが何て名前かは知らない。
植物は好きだし、菌だけどきのこ自体は好きだよ。
食べるとかじゃなく」
「うん、あたしも大好き!
きのこたちは植物・動物の死骸を分解してくれて、栄養のある豊かな土を作ってくれる。
そんな土からは再び様々な生命が生まれる。
きのこには、ありがとうって思うことがたくさんあるもの」
「そうだね。
でも縁の下の、あの気味の悪いきのこ。
ようは縁の下が気味悪いって事なんだけど…
埃っぽくて、カビっぽい気味の悪い場所。
色んな生物が、あそこを最期の場所に選んで…
そんな生物の死骸がたくさんありそうな場所。
何を栄養にして育ったのか分からないきのこ…」
「死骸をそのきのこが分解してくれてんだ?」
「ホントに死骸があるかは知らない。
あくまでイメージね。
とりあえず、人間の歯はいくつかあそこから発見されるはず」
「歯?子どもの頃、縁の下に歯を投げたんだ?
可愛いっ」
「……。
とにかく見たくもないのについ、縁の下を覗き込んでそれでまた、あのきのこを見てしまう。
気味の悪い縁の下に住む、気味の悪いきのこを…」
虫とかを含め、てんまさんよりまゆさんの方が怖いものが多いみたいです。
「あたしはその縁の下のきのこ、興味あるなぁ。
縁の下に入って研究したくなっちゃう!」
「気味の悪いこと言うな…」
「だって好きなんだもん。
毒のあるきのこも、食べられるきのこも、薬効成分があるきのこも」
「薬効成分…
そういえば、サルノコシカケがさ、実家の梅の木によく生えてたんだ。
あれって身体に良いんだっけ?
にゃこがよく登ってたなぁ」
「でもやっぱりきのこって食べるのを楽しみにするほどには、すっごく美味しいってわけでもなくない?
身体にいい食べ物って、基本たいして美味くない気がする…
あたしは人間に長生きさせたくない奴らの、動きというのを感じている」
“人間にとって身体に良い食材は、まずくしろっ!
これは異常に酸っぱくしろ!
こっちは苦くしろー!”
そんな風に食材の味を、司っているものたち。
まゆさんは、こうして食材の味をコントロールするものの存在を感じているのだそうです。
【きのこ】
低カロリー、食物繊維、カリウム、ビタミンB群
きのこには栄養が豊富に含まれています。
毒きのこもたくさんありますが、一方で薬になるきのこも存在します。
有名なのは冬虫夏草です。
栄養価が高く、とても希少価値があるきのこです。
アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどが豊富。
ただ死んだ虫などから生えてくるきのこなので、まゆさんは気持ち悪がってしまうかもしれません。
次回へ続きます