マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ねこ森町のニャロウィンパーティー その5

夕暮れにねこ森町で行われる、ニャロウィンパーティーに間に合うよう、隣村であるポ村からテコテコ歩いて向かうねこさんたち。

悪い霊がウロつくと言われているハロウィン。

そしてそんな日にねこさんたちの周囲をウロつく、何者かの気配…

一体何者なのでしょう。



さっきまで何となく感じていた何者かの気配が、今やハッキリとその存在を感じる。



その気配は確実に後ろから、ねこさんたちの方に迫って来ています。

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ただその気配は、先ほどからずっとウロついていた小さなもののような素早さはなく、のそのそとしているようです。


「みんな!早く逃げるにゃ!」

「うん!」



ねこさんたちには、瞬発力はあるのです。


走って、走って!



少しずつ謎の気配を引き離し始めたねこさんたち。

「チョロいにゃ!」


でもついてくる気配の図体は、ねこさんたちよりもだいぶ大きい。



動きはのそのそとしているようでも、一歩一歩の幅が広く、引き離したと思った距離が再び徐々に縮まり始めています。


残念ながら、ねこさんたちはあまり体力がありません。



見るからに疲れてきてしまっています。


「追いつかれるにゃ!」


慌てて走っていたにゃこさんは、転んで泣き出してしまいます。


「にゃきゃあっ!」


「にゃこさん?!」



「にゃこさんを怖いところに、連れてかにゃいで~!」


にゃこさんは何者かに対して、何やらわめいています。



「まゆちゃんにまた会いたいにゃ~!」


その何者かは、泣きわめき続けるにゃこさんに何かを差し出してきます。


「にゃ?」


よく見ると何者かの正体は、先ほどのトウキさんでした。


トウキさんの上に置きっ放しにしていた、かぼちゃプリン入りのバッグを届けてくれたようです。


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「なんにゃさ、全く脅かして!
声掛けてくれればいいにゃにゃい!」


トウキさんはにゃこさんに、理不尽に怒られてしまいました。



でもにゃこさんは何者かの正体が分かって、一安心です。



ダイちゃんはにゃこさんの代わりに、トウキさんにお辞儀をします。


そしてねこさんたちは再び、テコテコとねこ森町へ向け歩いて行きます。


ただホッとしたのと同時に、また疲れを感じてしまいます。



ちゅ~る一つではねこさんたちの空腹も、満たされなかったようです。



結局ねこさんたちは、疲れと空腹で蹲ってしまう。



トト君のお腹が一番グーグー鳴っています。


「父さんにね、いつもご飯頂戴ってお願いするんだけど、食べ過ぎだって怒られるんだ」



「そうにゃの?でもにゃこさんもたまに、まゆちゃんに怒られるにゃよ」


「いっしょだね」


でも男の子のねこさんたちは、めげずに気力を振り絞って立ち上がります。



「もうちょっと頑張ろう!」


「うん!」


人とも…虫さんとすら、すれ違うことの無いポ村のハズレの方を、ねこさんたちはテコテコとゆっくりペースで歩いて行きます。


もう夕暮れまでには、ねこ森町につかないかもしれない…


そんな雰囲気がねこさんたちの間に、漂い始めました。




その村はずれの場所で、前方の方にまたしても何者かがいるようです。


ここはもうポ村の住宅街からは、だいぶ離れています。


めったに人がいることはありません。



「さっきからなんにゃの?」


きっと普段なら人影が見えてもにゃこさんは、特に何とも思わなかったでしょう。


ポ村にだって人は普通に住んでいるのですから…


でも今日はハロウィン。


まゆさんが話してくれた、旅のちょっとしたスパイスになっている怖い霊の話。



それがにゃこさんの頭の片隅にずっとあるせいか、何でも怪しいものに見えてしまうようです。



「さっきの奴がまた追いかけてきたにゃ?」



でもさっきの奴、トウキさんより更に少しだけ背格好が大きいようです。


にゃこさんは今日会ったケイヒさん、トウキさん以外に大人の男性の知り合いはいません。



“今度こそ悪霊?”


やはりハロウィンの夜は、悪霊たちがウロついているのでしょうか…



もうほどなくして、夕暮れが訪れる時刻です。



可哀相にねこさんたちは、いよいよかたまって震えだしてしまいました。

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“このままじゃだめにゃ!
にゃこさんは男の子にゃ!
みんなを悪霊たちには、連れてかせないにゃ!!
まゆちゃんみたいに強くなるんにゃっ”


にゃこさんは落としてしまったランタンを持ち上げ、ぶんぶん振り回しました。

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「この魔除けのランタンで、悪霊たちを追い払うんにゃ!」


ぶんぶんぶんっ!


「そんなにぶん回したら壊れちゃうぜ、それ」


「!!」


ずいぶんラフな感じで、悪霊が話しかけてくる。



一生懸命振り回していたランタンは、その悪霊におさえられていました。


「にゃっ!?」


「これハロウィンの魔除けのランタンじゃねえの?
ん?それって、まさか俺を倒そうとしてた?」

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にゃこさんは知りませんが、悪霊だと思って倒そうとしていた相手は都会に住む薬剤師のイチイさんという方でした。


調剤薬局を経営する社長の息子さん。



彼らの薬局では、薬剤師の教育が行き届いているという評判を耳にしたポ村の村長は、イチイさんに色々と教えを乞うため、土曜日の午後に軽めのミーティングをしていたようなのです。


ポ村の村長は、セルフメディケーションに力を入れて取り組んでいるのです。



この近くに都会行きのバス停があるので、村長とのミーティングを終えた後、イチイさんはバスが来るのを待っていました。



そこにランタンを持ったねこさんたちが、トコトコと歩いて来るのを見かけたので、つい近寄って行ってしまったようです。


「…にんげんにゃの?」

にゃこさんは怯えながら、イチイさんにたずねました。


イチイさんは震えるねこさんたちの様子を見て、どうやら自分のその行為が、怖がらせてしまったのだと気付き、なるべく優しい声でこたえる。


「そうだよ。人間だよ」




「みんな、にんげんにゃって」


「なんだあ」


「ねぇじゃあ、あのおまじない…」


「そろそろ使うにゃか?」


ねこさんたちが何やら話し合っています。



ダイちゃんにハロウィンのおまじないのことを促されたにゃこさんとトト君は、元気よく人間のイチイさんにおまじないを唱えます。


「とりっく・おあ・とりーと!」



「………え?」




ハロウィンのお約束のはずのお菓子をくれずイチイさんは、ぼんやりとこちらを見ています。



これはイチイさん、ねこさんたちからのいたずらの刑確定です!


次回へ続きます