前回の続き
ねこ森町のニャロウィンパーティーに行くことになったにゃこさん。
でもニャロウィンというのがなんたるかを、全く知らなかったのでまゆさんに教えてもらいました。
ところがニャロウィンに出没するという、悪霊やら魔女やらの怖い話ばかり聞かされたため、すっかり外に出るのが嫌になってしまう…
そこでねこさんなら外を歩かずにねこ森町に行けるという、押し入れを利用して行くことにしました。
夕暮れまでにはねこ森町に行かなくてはならないので、さっそく押し入れを準備します。
まゆさん宅には押し入れがないので、手作りの押し入れダンボールの中をくぐって行きます。
「じゃあ行こ」
「にゃ」
「いってらっしゃい、みんなによろしくね」
「うん」
かぼちゃプリンを届けるため、ニャロウィンパーティーに参加するため、押し入れを開けていざ、ねこ森町へ。
「!!?」
「押し入れ開かないにゃよ…」
「なんか入ってるみたいね」
どうしたのでしょう、押し入れが開かないようです。
ダイちゃんが、言うには何かが押し入れに入ってるようです。
「こわいにゃ!まゆちゃん!」
「はいはい、どうした?」
まゆさんは押し入れの中に、なにが入っているのかのぞき込んでみました。
「え?」
「何にゃ?」
押し入れからフワフワの毛が見えます。
「トト君?」
ねこ森町に繋がっているという押し入れを開けると、押し入れ好きなトト君が中に詰まっていました。
彼はねこ森町に住むねこのトト君です。
どうやらねこ森町の押し入れから、入ってきてしまったみたいです。
「にゃふぅ、にゃぷう…」
トト君は気持ち良さそうに眠っています。
これではねこ森町に行く事が出来ません。
「やっぱり歩いて行こう」
「むにゃ…」
不安そうな顔をするにゃこさんのお手々を、つないでくれるダイちゃん。
「にゃこ、頑張れ!
ダイちゃん頼もしい!」
「うん」
するとトト君が、むっくりと起き上がってくる。
そしてにゃこさん、ダイちゃんの手を握って来ました。
「んにゃ?」
「ねぇにゃこ、みんなで一緒に行ったら?
たくさんお友だちがいれば怖くないでしょ?」
「トト君一緒に行くにゃ?」
「行くっ!」
「たのしそう」
すっかり張り切っている様子のトト君。
まゆさんに後押しされたねこさんたちは、みんなで歩いて行くことにしました。
ニャロウィンパーティーは本日の夕暮れ。
まゆさん宅でのんびりしてしまったねこさんたちは、夕暮れまでに間に合うのでしょうか?
「じゃあまゆさんが旅の途中でお腹が減ったときの、おまじないを教えてあげよう」
「そんなのあるのにゃ?」
「あるのよ。
出会った人にTrick or Treat って言ってごらん」
このおまじないはお菓子をくれないとイタズラするぞ、と言う意味です。
「今日だけ使える秘密のおまじないだよ」
「ひみつの…」
(にゃこさんはおまじない“Trick or Treat”を手に入れた)
ハロウィンの日にそのおまじないを言われた人は“ハッピーハロウィン”と言ってお菓子をあげないといけません。
「断られたらその人にイタズラしていいからね」
「にゃ!」
「それじゃあ行ってらっしゃい。
みんな、くれぐれも用心してね…」
「にゃし!」
ダイちゃんはまゆさんにお辞儀をして、ねこ森町に向かって行きました。
夕暮れから始まるニャロウィンパーティーに間に合うよう、ねこさんたちはみんなでポ村からねこ森町に向かいます。
みんなそろって、仲良くテコテコ歩いて行きます。
ポ村の住宅街を抜け、小さな公園を抜けて歩いて行きます。
ねこさんたちがねこ森町に行く途中、農家を営むケイヒさんに出会いました。
にゃこさんとは顔見知りです。
「にゃこじゃんさ、どこ行くの?
ねこたちで固まって…遠足?」
「違うにゃ!」
「かぼちゃ食う?めっちゃうまいの出来たから。
今日かぼちゃの祭りだろ?
あれ?ねこってかぼちゃ食える?食えない?」
「その緑のかぼちゃは、ニャロウィン用のかぼちゃじゃないにゃ。
それはsquashにゃ!
パンプキンじゃないのにゃ!」
「へ?」
にゃこさんはみんなと一緒に、スタスタと去って行こうとします。
「今日は急いで行くところがあるのにゃ」
「行くところ?にゃこに?」
「にゃこさんにだってあるのにゃ」
ねこさんたちが仲良く固まって、歩き去って行く。
「なに?ねこ祭り?」
ふとダイちゃんは振り返って、ケイヒさんにお辞儀をしていきます。
それを見たケイヒさんも、思わずつられてペコリ。
ねこさんたちはその後も、小さな水たまりを越え、小さな丘を越えテコテコと歩いて行きます。
なにしろ夕暮れまでには、ねこ森町に到着しなければなりませんから…
次回へ続きます