前回のお話
キノコさんの営む駄菓子屋さんで遊んでいたにゃこさんたちと、子コアラのココアちゃん。
子どもたちとみんなで遊んでいたら、ココアちゃんが咳き込みはじめてしまいました。
風邪でしょうか?
もしかしたら新型コロナ?
キノコさんにココアちゃんを預けていたココアちゃんママが迎えに来たので、ココアちゃんを診察して貰うため、にゃこさんたちと一緒にくまじろ先生の所に行くことにしました。
「みんなしっかり離れて歩いてね」
「はーいっ」
「ぽんぽんっ」
「ココアちゃん。だいじょぶー?」
「ぽん」
ココアちゃんは後ろからついて来るみんなの顔を、チラチラと見ていました。
みんなの顔を見ると安心するのかな?
子どもさんたちは、お互いの距離が近付きすぎたら慌てて離れ、離れ過ぎたら今度は少しずつ近付いてくる。
何やらそれが子どもたちにとっては、ゲームみたいで楽しいみたいです。
「あー!くまじろ先生んとこ見えてきた」
「おお、きたきた!おいでココアちゃん。
早速検査するよ」
ポ村では検査の結果は15分ほどで出るのです。
「ココアちゃん平気かな?
泣いてないかなぁ」
「みんな、結果出たよ」
検査の結果、ココアちゃんはライノウィルスに感染していました。
新型コロナではなかったようです。
「ライノウィルス?」
「それなに?恐竜の名前みたいっ!」
ライノウィルスは風邪症候群の中では1番といっていいほど、一般的なウイルスです。
「風邪の原因であるウイルスは数百種類あるんだ。
その中でライノウィルスは、毎年よくみんながかかっている風邪だよ」
「ココアちゃん、治る?」
「治るよ。
しっかり休んでいっぱい寝て、ご飯を食べればね」
「よかったね、ココアちゃん!
ココアちゃんママっ!」
「ええ、みんなありがとうね」
「じゃあ、咳が少しツラそうだから、咳止め用のシロップを出しておきますね」
「先生、ありがとうございます」
「こんにちは」
「あれ?マメー?」
偶然にもマメチュー先生が、患者さんの事で相談をするために、くまじろ先生の元にやって来ました。
「丁度よかった。
子ども用の咳止めシロップ持ってます?」
「もちろん、ありますよ」
マメチュー先生のかばんの中は、いつも薬箱になっています。
「ココアちゃん、風邪をひいてしまったのですね。
おくすり飲めるかな?」
「飲めるよねー!
それ甘くて美味しい薬でしょ?」
ココアちゃんはシロップの匂いを嗅いで、プイッとしてしまいます。
「どしたの?ココアちゃん。いや?
トビーくんはね、もっとすごいお薬飲めるんだよー」
にゃこさんも苦手なお薬のことを思い出しているのか“うにゃ~”という顔をしてお口をおさえています。
幼いココアちゃんちゃん、ねこさん、どちらも薬を飲ませるのは大変です。
一方お薬を飲めるようになったトビーくんは、それを自慢したくて仕方がない様子です。
前にマメチュー先生に教えてもらって以降、子どもさんが苦手としている粉薬も、飲めるようになったのです。
もうお兄ちゃんです。
しかしまだココアちゃんのように、小さいお子さんに薬を飲ませるのは大変です。
同じくねこさんに飲ませるのも大変。
“この薬を飲んだら症状が楽になるんだよ”
そう教えてもねこさんには、分かりません。
ねこさんに、何やら違和感のある薬を飲んでもらうのはむずかしい事なのです。
シロップというのはお子さんも飲めるように、甘く味付けしてあります。
でもその独特な味を、嫌がってしまうお子さんもいるのです。
「ココア、ほらお薬よ」
いやいやと首を振るココアちゃん。
「ではこのシロップを少し冷ましてみましょうか」
マメチュー先生のアドバイス。
冷たい方が味は感じにくくなります。
さらに甘みを感じなくするため、水で少しシロップを薄めてみる。
「ココアちゃん、これでどうでしょう?」
ココアちゃんママは、ココアちゃんにシロップを与えてみる。
ココアちゃんは匂いを嗅いでから、コクコクとシロップを飲み始めてくれました。
「まあ、この子、すごい勢いで飲んじゃった。
喉渇いていたのかしら?」
「ココアちゃんやったね!
お薬飲めたねー!」
「ごめんね、ココア。
こんな日に一人にして」
「じゃあ今日は、ココアちゃんをゆっくり休ませてあげて下さい」
「ありがとうございます。
そうだわ、キノコさんに新型コロナじゃなかったって伝えておかなきゃ」
「コロナ違くてよかったねー」
「ではココアちゃんママ、お大事に。
気を付けておかえり下さい」
「はい」
お薬が飲めたココアちゃん。
にゃこさんもココアちゃんを見習って、お薬飲めるようにならないとね。