マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

子コアラのココアちゃん その1

頼まれるとたまに、ベビーシッターをやっているマメクスリカフェの患者キノコさん。


今日は子コアラのココアちゃんを、預かる事になりました。


ココアちゃんのママは、ちょっとだけご実家に用事があるとのこと。


ママが帰ってくるまでの間、寂しがらないよう一緒に遊んであげることにします。


「ママ…?」


「ココアちゃん、今日はおばあちゃんと何して遊ぶかねぇ?」




そんなキノコさんの所に遊びに来た、トビーくん、ペンネくん、にゃこさん。


「キノコばあちゃん。お菓子ちょーだい!」


キノコさんの本業は駄菓子屋さんです。


昔から小さな駄菓子屋さんを営んでいるのです。

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ココアちゃんはもこもこのぬいぐるみのよう。


短いしっぽがピルピルと動いています。


「可愛いねぇ」


トビーくんたちはキノコさんから、大玉あめを貰いました。


「好きなの選んでごらん」


「わぁー、綺麗」



「何色にする?」

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「美味しーい!一生舐めれる」


「長く舐め続けてた方が勝ちね!」



ポ村の子供たちは、キノコさんがくれる大玉あめが大好きです。


あめ玉を舐めている間中、楽しくウキウキした気分でいられるのです。



「甘ぁ!」


大きな甘いあめ玉を口の中で転がしながら、子供たちは寝転がって空を見上げます。


「お空が高いねぇ」



この間まで手を伸ばせば届きそうだった雲が、ずっとずっとお空の遠くの方まで行ってしまいました。


風は冷たいけれど、お日さまは暖かい。

そんな秋の午後です。




あめ玉は舐められず、お空の事もよく分からないにゃこさんは、ココアちゃんのそばへ。



小さな子どもさんが好きなにゃこさん。



柔らかくて温かい子どもさんの事が、大好きなのです。


ちょっとぐずり始めていたココアちゃんと、にゃこさんは遊んであげることにしました。



「にゃこちゃん、悪いわねぇ」


「にゃ!」


トビーくんたちも、ココアちゃんの元に集まります。



「みんなで葉っぱを使って遊ぼ!」


「にゃ?」


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色んな形、色、匂いがある葉っぱ。


ひとつひとつ観察するのも、なかなか面白いです。


「そうだ、おばあちゃん!
煙の出るおもちゃは?まだある?」


「ありますよ。最後の1個。
ハロウィンが近くなるとね、このお化け煙が売れるのよ」



「お、おばけにゃ??」


「いひひ知ってる?にゃこ」


「にゃ?」


「これね、見て。怖いお薬」


「にゃ…」

トビーくんが手にしているのは、指で粉をコネコネすると煙が出て来るおもちゃです。


「こうするとね、煙の中から怖いものがね…」


にゃこさんは、トビーくんの手元を覗きこむ。

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葉っぱで作ったお面で、トビーくんに脅かされてしまいました。



にゃこさん、驚いてコロコロと転がって行く。


「にゃたっ」



すると転がっていった先に、何やら変な生き物がこちらを見ていました。


他のみんなは気付いていないようです。



「何にゃ?」


新種の生物?



何やらこちらを見て、こちらのマネしている様子。

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ポ村ではたまに見たことのない生物が、姿を現す事があります。


「煙から出たお化けにゃっ」


「にゃたー」


大人のにゃこさんは、子どもさんやおばあさんを守るためお化けを捕まえてやろうと思いました。



謎の生物は、スッと隠れてしまう。



秋の虫取りのような感覚で、草むらをガサゴソと探していきます。


「見つからないにゃ」


イライラしたにゃこさんは、むしゃくしゃしながら草をむしって食べ始めてしまいました。


それを見ていたココアちゃんは、にゃこさんのまねして草を口に入れようとしてしまう。


「あら、ココアちゃんダメよ」


「コーコアちゃん、おばあちゃんからお菓子貰お」


「にゃむ…?」


何だか分からないけど悪いことしたと思ったにゃこさんは、しっぽでココアちゃんと遊んであげることにしました。


ポスポスポスッ


ココアちゃんが興味を持つように、一生懸命しっぽを振ります。


「キャキャキャッ」


ポスポスポスッ


「キャキャー」


ポスポスポス……


ココアちゃんは、楽しそうににゃこさんのしっぽを捕まえようとしています。



なのににゃこさんは、早々に嫌になってきてしまいました。


思わずココアちゃんのお顔を、しっぽでぺいぺいしてしまう。


「!!…うっうっ」


ビックリしたココアちゃんは、泣きはじめてしまいました。


「あらあら」

「うっえっ…」

「んにゃ…」


大人のにゃこさん、またやってしまいました。



責任を感じてキノコさんの代わりに、にゃこさんが抱っこしてあやしてあげることにします。


抱っこといってもココアちゃんの足は地面についており、全然抱っこにはなっていませんが、にゃこさん本人はしっかりあやしているつもりです。



ココアちゃんは、何やら眠そうにしはじめました。


そんなココアちゃんを抱っこしていると、ふわふわで温かくてにゃこさんも眠くなってきてしまいました。

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ココアちゃん何やら咳き込んでいます。


「ぽんぽんっ」


「あらまぁ、ココアちゃん大丈夫?」


「何ー?ココアちゃん咳?」


「あ、ココアちゃんママだ!」



「ただいま帰りました。
みんなココアと遊んでくれてたの?
キノコさん、ご迷惑おかけしてすいません」


キノコさんは、ココアちゃんママにココアちゃんの症状を説明。

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「やだ、風邪引いたのかしら?」


ポ村ではまだ新型コロナの感染者は、出ていません。



でもコロナの可能性がある限りは、しっかり確認しないとです。


「ぽぽんっ」


「今すぐ病院行かないと」


今は大変な世の中です。



ココアちゃんママは、くまじろ先生に事情を説明してから、ココアちゃんを連れて診察して貰う事にしました。


「くまじろ先生んとこ行ってから、マメんとこ行くの?」


「そうよ。今日はみんなごめんなさいね」


「一緒に行く!」


「ダメよ、うつったら大変だから」


「行く!」


「ええっ?」


「離れて歩く」


「でも…」


みんなはココアちゃんが心配なのです。


「いっぱい離れて歩くっ!」


「うっうっ」


ココアちゃんが、みんなを恋しがって泣き出してしまいました。


「困ったわ」


「ココアちゃんママ…
ココアちゃんのためにも、連れていってあげたら?
近寄らなければ、大丈夫よ。外だし」


「そう、ですね…
じゃあみんな、しっかり離れて歩いてね」

「うんっ!」


「にゃっ!」

「キノコさんごめんなさい。
結果が出たらすぐお知らせしますね」


「ええ」


次回へ続きます