マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

患者さんにあった服薬指導 その2

ー前回のお話ー

ポあねさんの新しい職場である、オフィスビルにある調剤薬局。

通常、調剤薬局に多い患者さんは高齢者や、お子さん等なのですが、オフィスビルの中にある薬局は、働き盛りの会社員の方が多いとのこと。

さて、高齢者に対する服薬指導と、会社員の方たちに行う服薬指導。
それぞれどう違うのでしょうか…




薬に関して高齢者の方は、医師に任せっきりにする
というタイプが多いですが、働き世代の人々は薬が効く仕組み(作用機序)が気になるようです。


“この薬は本当に効くの?”


頭のどこかで薬に対してそういう思いがある方には、細かくきっちりと薬の効き方を説明した方が、プラセボ効果も手伝ってより薬が効いているように感じます。


例えば“インフルエンザ薬”はインフルエンザに感染した直後に服薬しないと、意味が無いと言われています。


“なんで?”


その説明だけでは理由が分からず
“一応飲んどけば、少しくらい効くでしょ?”
と何となく患者さんは思ってしまいます。


具合が悪くなって“数日たってから”検査をして、インフルエンザと診断された。


“ツラい。ちょっとでも良いからこのツラさから解放されたい”

そう思って薬を服用してみようと思う人もいるかもしれない。


でもインフルエンザ薬というのはウイルスの“増殖を抑える”ためのものなのです。


ウイルスを死滅させてくれる訳では無い。


その為、体内でウイルスが増殖しきってから服用しても、薬の効果は得られないというわけです。

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次に痛み止めの薬を服用する場合。


痛み止めは痛みが酷くなる前に服用しないと、効果がありません。



“生理がきちゃったな…痛みが出そうだな”

“今日は休日だし、片頭痛が起こりそう”


など事前に痛みが出そうだなと思った時が、痛み止めを服用するベストなタイミングです。


既に痛みを感じてから、痛み止めを服用した際
“薬が全然効かない”
って思った事はありませんか?



発痛物質である“ブラジキニン”
コイツが受容体にモソモソと入り込んでくる。
 

この時に痛み止めの薬を飲んでも、効果を得られる可能性は低くなってしまいます。

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痛み止めの薬は
“プロスタグランジン”(炎症を起こす)を作る酵素を阻害する働きがあります。


そしてプロスタグランジン(炎症を起こす)を合成する酵素
“シクロオキシゲナーゼ”(炎症の誘導に重要な役割を果たす)の働きも抑えてくれる。

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要はプロスタグランジン(炎症を起こす)を
抑えて、痛みも抑える。


とにかく色々抑えてくれるのです。



シクロオキシゲナーゼ(炎症の誘導に重要な役割を果たす)

これを抑えると…

プロスタグランジン(炎症を起こす)が減少。



プロスタグランジン(炎症を起こす)
自体に発痛作用はありません。


ブラジキニン(発痛物質)の疼痛閾値
(痛いと認識される刺激の最低強度の事。個人差・体調・心理状態でこの値は変化する。この値が下がると痛みは感じやすくなる。上がると痛みが感じにくくなる)を抑えてくれるのです。

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痛み止めを服用すると、トンカチで殴られた級の痛みが、ピコピコハンマーでピコンされた位の痛みに軽減してくれる…みたいなこと。

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「なるほど。薬はただ飲んどけば良い、というものでは無いですからね」


患者さんそれぞれに合った服薬指導が、大切なのですね。


「ボクもマメクスリカフェの患者さん、それぞれにあった服薬指導、頑張ります!」