マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

患者さんにあった服薬指導 その1

パゴロウさんが、マメクスリカフェで薬剤師としてお仕事を初めてから、数週間が経ちました。


おかげで徐々に、よくいらっしゃる患者さんのお顔も、分かるようになってきました。

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顔だけでは無く服薬指導をする際に必要になるため、それぞれの特徴・タイプ・考え方なども覚えていかなくてはなりません。


(ええと…確かナメ江さんは不安症な方…
だから神経質な位に服用時間を守るタイプで…)
ブツブツブツ…



「パゴロウさん、そろそろお昼にしましょう」

「あ、はーい」


マメチュー先生は、“プスプス”と考え事をし、パニクりそうなタイミングで休憩を申し出てくれます。

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「そういえばポ村にはまだ、新型コロナの感染者は、出ていないみたいですね」


「ポ村の村長さんが村の出入り口で、しっかり検温をしてチェックしているそうですよ」

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ポ村の人々には、仕事に影響が出ている人もあまりいないと聞いています。


「コロナといえば、知人のポあねさんに会った時の話なんですが」


「ポあねさん?」

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「ポあねさんも同業で、薬剤師をしています。
かつては北国の公立病院で、地方公務員としてお仕事をされていたようです」


「病院の薬剤師ですか。
同じ薬剤師でもドラッグストア・保健所・製薬会社など仕事内容って違うんですよね」


「そうですね。
そして今はわたしたちと同じ、調剤薬局の薬剤師をされています」

「病院薬剤師から調剤薬局の薬剤師に?」


「ポあねさんのお話によると、病院で働いていると患者さんが退院されてしまったらそれっきり…

退院された患者さんがその後、通う薬局はおそらく馴染みの調剤薬局です」


“もっと患者さんと深く関われる職場で働きたい。
患者さんの事を見守っていきたい”


「そう思ったポあねさんは、調剤薬局の薬剤師に転職したそうです」

「なるほど」


「調剤薬局では、管理薬剤師として長くお勤めされていたのですが、1年程前に今度は派遣薬剤師に転職されたみたいです」

「派遣に…?」


「調剤薬局をやめる時に“独立してお店を出さないか”というお話もあったがそうなのですが、それもお断りしたそうです」 


「…きっと色々おありだったのでしょうね」



「派遣薬剤師として働いていたポあねさんなのですが、新型コロナのせいで患者さんの来局が減ってしまい、お仕事が無くなってしまったらしくて…

結局派遣として働けなくなってしまった、とおっしゃっていました」

「あら…」


「ポあねさんは働ける場所を転々と出来る、派遣としてお仕事がしたかったらしいんです。
ですが待てど暮らせど…

一ヶ月経っても派遣の仕事のお話は、無かったらしくて」


「パートや正社員のお仕事はあったのですか?」


「はい。なのでしぶしぶとおっしゃってましたが…
ふふっ。

パートとして、薬剤師の仕事をやることにしたとおっしゃっていました」



「とりあえずはよかった…んですよね」

「そのパート先の調剤薬局というのが、都会の50階以上あるオフィスビルの中にあるそうです」



「都会のオフィスビル…
患者さんの層がこちらの薬局とは、だいぶ違いそうですねぇ」

「パゴロウさん、鋭いです!」


「マメクスリカフェで多い患者さんは、やっぱりお年寄りの方たちですよね。あとは、お子様とか」

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「都会のオフィスビルとやらでは、会社のCEO的な方?が多いとのことです」

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「基本的にはカチッとしたスーツで決めた、20~60歳代の働き盛りの会社員が多いとか。
たまに有名な方もいらしたりするそうですよ」


「マメクスリカフェの患者さんの層とは、やはり違いますね」


「そうですね。
そうなると服薬の指導方法なども、だいぶ違うと思います」


【お年寄りの患者さんに多いタイプとは】
高齢者は服用する薬の種類も多く、把握しきれていない方が多いです。

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一つ理解出来ないものがあると、他の薬に関しても理解しようという意欲がおきないようです。

そもそも薬の効き方も理解しておらず、興味も無い。

お医者さまに言われたことを信じ込んで、全て任せきり。



言われたとおり、出されたとおりに薬を服用し、何の薬を飲んでいるのかさえ“知らない”という方もいます。

なので服用している薬と、飲み合わせの悪いものがあるかどうかも気にすることすらない。


そのままでいると最悪、事故・災害に巻き込まれてしまった時は、服用している薬が何なのかも分からなくなってしまいます。

 

お年寄りの方たちは薬の事以外、例えば次々出て来る新しい事を理解しよう・お勉強しようという意欲が少なくなってしまっている方も多いです。


理解出来ないものがある時、家ではお医者さまでは無く、お子様などに任せきりにしている方も多いでしょう。


なのでお年寄りにお薬の事を理解して頂くのは大変です。



それでも来局の度に少しずつ、高齢者の方でも聞き取りやすいよう、理解出来るよう、ゆっくりと説明をする。

その際、説明を理解して頂けているか、確認する。

そしてお薬の事を分かって頂けるよう努力する、それが私たち薬剤師のお勤めなのです。

ー次回へ続きますー