パゴロウさんの初出勤から、数日が経ちました。
初日はあんなに緊張していたのに、今はマメチュー先生やクラゲさんと、一緒に働けて楽しくて仕方がありません。
早く出勤して、マメチュー先生のお話を聞きたくなる。
実は今日も早めに出勤してしまい、図々しくも朝食をご馳走になってしまいました。
爽やかな朝が気持ちいい。
その中で飲む、出汁の効いたお味噌汁が美味しい。
しょっぱい系の、ご飯に合う卵焼きが美味しい。
そのご飯がまた、ふっくらしていて美味しい。
「今日一日しっかり頑張ろう」
そんな気持ちがわいてくる、幸せな朝の時間。
「マメチュー先生、ご馳走さまです。
全部とっても美味しかったです!
ボク、お片付けしますね」
「ありがとうございます」
ザーザー…
ふんふ~ん♪
キュッキュキュッ!
パゴロウさんがご機嫌さんで、お皿洗いをしていると、人に見られているような変な気配を感じました。
「??」
窓の外から覗き込む人影。
目が合った直後、凄い勢いで薬局内に入って来るその人物。
「マメチュー先生!この方どなたっ?何ですかっ!家族団らんみたいな光景は!
まさか…
マメチュー先生の息子さん?」
「いっいえいえ。この方は…」
「何だぁ。くまじろ先生の甥っ子さん…へぇ~。
ってか似てるー!ギャハー!!」
「パッパゴロウと申します」
覗いていた人物は、ずいぶん元気の良い、女性の方でした。
近くで全身をじろじろと観察されて、どうしたらいいのか分からず、戸惑ってしまいました。
「なぁに?赤くなって…照れてんだ?」
マメチュー先生は、困っているボクの為に、その女性の方を改めて紹介して下さいました。
「ここマメクスリカフェで調剤事務として、お仕事をしてくれています」
「同僚の方でしたか…」
「ねえ。パゴちゃんはさ。
中身はくまじろ先生に全然似てないね」
(パゴちゃん…)
「でっ!マメチュー先生!」
「はい?」
「急にくまじろ先生に言われたものですから。
でも素敵な方でしょう?」
「!!」(素敵…)
元気な女性USAさんは、1週間振りの出勤だそうです。
薬局の繁忙期は、もっと出勤日数も増えるそうですが、基本は経営者であるマメチュー先生が自由にさせているみたい。
なので非常勤である薬剤師のてんまさんも、毎日は出勤していないようです。
お話をする時の距離がとても近い、調剤事務のUSAさん。
でもおどおどしているボクの事を、根掘り葉掘り聞くというよりは、ご自分の事を色々と話してくれました。
「私の今日の朝ごはんはね~
卵かけご飯!おいしいよね。
ポ村には美味しい卵を、売ってくれるお店があるんだ。
そうだ、パゴちゃんさぁ」
「あ、ごめん。近い?
あたし、人との距離感バカになってるからさ。
よく人にウザがられるんだよね。
まゆちゃんとか…
でね、そんでね、そのスイーツのお店、今日あたしが食べた卵かけご飯に使った、美味しい卵を使ってるんだよ!
今度買ってきてあげようか?そこのスイーツ」
「それならUSAさん。
お金をお渡しするので、おやつに買ってきて頂けますか?」
「やった~!嬉しい。
マメチュー先生ありがとう!
パゴちゃん、楽しみにしていてね。
ホント、美味しいから」
「あ、あっはい」
パゴロウさんは、スイーツの事よりもUSAさんの人懐っこさを羨ましく思っていました。
・続きます・