どの職場でも同様だと思いますが、薬剤師にとってもコミュニケーション能力はとても大事です。
例え薬学部を優秀な成績で卒業したとしても、社交性が無い方は、薬剤師には向いていないと思います。
(大学に入る前は、そういう患者さん対応の事とかは考えていなかったなぁ)
病になり不安を抱いて来局している患者さんが、薬剤師に素っ気無い態度で対応されたら…
それこそ嫌な気持ちになると思います。
何を言っているのか分からない、やる気の無い態度の服薬指導等も、患者さんは困惑することでしょう。
これらの事は、いつも自分に対し言い聞かせているパゴロウさん。
元々緊張しいで、人見知り。
患者さんに自己紹介する時も、全くうまく言えず…
服薬指導も上手に出来ず、ただ説明するだけの人。
お優しい患者のチーパさんは、下手くそな説明を穏やかに聞いて下さいました。
でも勿論イライラされてしまう患者さんもいることでしょう…
頭の中の自分と、実際の自分。
いつも物凄く解離しています。
「はぁ…」
落ち込むパゴロウさん。
「パゴロウさん、お店が落ち着いてきたのでそろそろランチにしませんか?」
「え、あ…そんな時間。
ありがとうございます。マメチュー先生」
マメチュー先生は、具だくさんの炊き込みご飯と、お味噌汁を出して下さいました。
「簡単な食事ですが、どうぞ召し上がって下さい」
「…頂きます」
温かくて…ほっとします。
「パゴロウさん、七味使いますか?
前に手作りしたんですよ。」
「そうなんですか?頂きます!
元は漢方だったんですよね。七味って」
「はい。七味もお薬でした。
あ!辛いもの繋がりなんですけどね。この間…」
「美味しそ…」
「フフ。自分で言うのも何ですが、とても上手に出来たんです。ドリアは得意料理で。
そしてそのドリアには酸っぱ辛い、タバスコを掛けて頂くのが大好なんです。
それなのにいつも置いてあるはずの、調味料置き場にタバスコが無くて…」
「あら」
「タバスコが無いと絶対嫌だったので、部屋中探し回って、あちこちと」
「見つかったんですか?」
マメチュー先生は、コクリと小さく肯きました。
何ででしょう…
「何故か歯ブラシ・歯磨き粉の横に並べて置いてあったんですよね、タバスコ」
「でもようやくドリアが食べられますね」
「ええでも…
楽しみにしていたドリアのチーズが、タバスコを探している間に、冷めて固くなってしまっていたんです」
「あらら」
「なのでレンジで温め直して、食べることにしたんです。
でも今度はチーズが熱くなりすぎて、それがペタッと顔に張り付き…ヤケドしてしまいました」
(…マメチュー先生…もしかして…)
(ボクが落ち込んでいたから)
「チーズってどうしてあんなに熱くなるんでしょうね」
「ふふふ。ホントですね」
「チーズがあまりにも熱すぎて、思わず地球の内部でマグマがチーズと化して、ボコボコしている姿を想像しちゃいました」
「マグマ…チーズ…」
思わずパゴロウさんも想像してしまう。
「もしマグマがチーズだったら…食糧難も無くなりますかね?」
「…どうでしょう。そうかもしれないですね。
地底人にチーズを運んで貰ったりして?」
「そしたらボクは、パンに付けて食べちゃいます。
そこにちょっとミートソースものっけて」
「素敵ですね」
何だか夢が広がる妄想です。
惑星によってチーズの味もかわるのかな?