マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

パゴロウさんとくまじろ叔父さん

パゴロウさんの特殊能力発動。


“ハッ”


マメクスリカフェにお電話です。


いつものように、事前に電話が鳴る事に気付き、慌てず受話器を取ります。


“ガチャ”

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こちらが声を発する前に、食い込み気味で喋り出す叔父さん。

 
“何だ。
パゴロウかぁ。
しっかり仕事してるのかい?
悪いけど暇じゃないんで、マメチュー先生に早く代わっておくれよ。
薬の事で相談があるから」


「はい…
お待ちください」

 

ふぅー

仕事中に身内と話すと、集中力が途切れてしまいます。


(早くこの環境にも、なれないといけないなぁ)


その様子を見つめていたキノコさん。


感心したように、パゴロウさんに声をかけます。

 

「ホントに電話が1回なっただけで、受話器を取れるのね。
すごわねぇ~」

 

「え?あ、いやぁ」


ウフフ

パゴロウさんは、思わず口元を抑えて喜びます。


どうやらマメクスリカフェの患者さんの間で、パゴロウさんの特殊能力が噂になっているようです。


「私からの電話かどうかも、出る前に分かるのかしら?」


「そこまでは…
近しい人なら、事前に分かる時もありますが」


「そうなのね。
いつか私がこちらにお電話した時に、分かってくれたら嬉しく思うわ」


「はい。
私も分かるようになりたいです」

 



午後もお仕事を張り切るパゴロウさん。


先ほど褒められたので、より頑張っちゃっています。


現在はお薬のピッキング中です。


再び電話がなる気配を感じます。


もはやお馴染みとなりつつある
“パゴロウさん・スマートに受話器を取る”

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くまじろ叔父さんです。


「まぁいいや。
マメチュー先生早く呼んでっ。

早く、早くっ」

 

「はい…」

 

叔父のくまじろは、医師としてはそこそこ優秀らしいのですが、思ったことをすぐ口にしてしまう所が、玉に瑕です。


マメチュー先生のお電話終了。

 


そろそろ閉店時間がきました。


「パゴロウさん。
今日もお疲れ様でした」

 

「お疲れ様です。
マメチュー先生」


ようやく本日のお仕事が終わったその時、今度はパゴロウさんの携帯の方に電話が鳴る予感。

 

「はい」

 

くまじろ叔父さんでした。


今回はさすがに、事前に“叔父さん”からだと察知出来ちゃいました。



「気持ち悪っ…
パゴロウお前、ホントに間髪を入れずに電話に出るなぁ。
暇なのか?
ずっと携帯触ってんだろう」


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“仕事はもう終わったのか?
どうだ?
仕事は楽しいか?
まだ楽しむ余裕は無いかぁ”

 

「…」


叔父さんの方こそ、ホントは暇なの?


パゴロウさんは帰宅後、お水を飲んで気持ちをリセット。


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「はぁ~」


少し落ち着いたその時、頭をよぎった事がありました。


もしかしたら叔父さんがボクに、ホントに言いたかった事って…



“一回目で電話に出るのって、実は相手にとって迷惑?”


もし相手が電話をかけることに対し、緊張していた場合…


電話が鳴っている間に、心の準備をしたいのかもしれません。


それなのに一回目ですぐ、受話器を取られてしまう。


よかれと思った事が、迷惑になっている可能性があるかも知れない…


「そっか…そうだよね…」


叔父さんのお陰でちょっと、勉強になった一日でした。