近所に住む猫おばさん・バーバラは、ポいもの食事の面倒をみてくれる猫のお母さんです。
前回のお話では、ヤモリをごちそうしてくれようとしました。
その時はお腹がいっぱいだったので、遠慮しましたが…
ある日の深夜、再び“ドーン!”というバーバラさん登場の合図がしました。
「またこんな真夜中にどうしたの?」
その時ポいもは、バーバラさんの口の中に“何か”がいた事には気付かず、ガラッと窓を開けてしまいました。
何も考えず窓を開けた瞬間…
「!!?」
バーバラさんの口の中から、何かが飛び出して行きました。
「………!あれはっ!」
“蛾”でした。
バーバラさんのお土産は、いつも元気に生きています。
「え?バーバラさん。
ポいも、今日もお腹いっぱいだよ」
深夜みんなが寝静まっている中、ポいもの部屋には蛾が舞っています。
気付くとバーバラさんはすでに、ポいものベッドの中に潜り込んで、スヤスヤと眠っていました。
「今日のお夕飯はそれにゃすよ…ムニャムニャ」
じゃないんですよ。
ホントに。
ねぇどうすんの?
この蛾と一晩、一緒に過ごすのはイヤですよ?
ねぇあの蛾、パタパタ舞ってるよ!?
今、蛍光灯に向かって一直線に飛んで行ったよ!
バーバラさんってば聞いてる?
そんなポいもの声に、誰も答えてくれない夏休みの深夜3時。
どうしよう…
さすがにそろそろ、寝ようと思っていたのに…
落ち着かない。
嫌すぎて眠れない。
蛾は嬉しそうに、蛍光灯にじゃれついています。
“…蛍光灯…!?”
いいことを思い付いたポいもさん。
懐中電灯を手にして蛍光灯を消し、部屋を真っ暗にしてから、窓辺に座り込んで懐中電灯を振り回す。
「ほら、あなたの好きなものがあるよ。
こっちだよ」
深夜に一人窓辺で、懐中電灯を振り回す女。
家の前の道路を、誰かが通りすぎて行きました。
「だからこっちだってば!
何してんの?早くして!」
さすがにこの姿を人に見られるのは厳しいです。
「来た来た!」
ようやっと罠に掛かってくれた!
蛾が懐中電灯の明かりにつられて、窓の外に出た瞬間…
「ふんっ!」
“ガラララッ”
普段トロいポいもですが、猛スピードで窓を閉めます。
良かった、一晩蛾と一緒に過ごす事にならなくて…
だからバーバラさん、ご飯は大丈夫だよ?
ちゃんと食べているから気にしないで。
寝ちゃってるから、聞いていないとおもうけど…