前回猫のおばさん・バーバラさんが、お土産を持ってきてくれるというお話をしました。
そのバーバラさんが我が家に来るときはいつも、室外機から窓の間に落ちて挟まる音で気付きます。
毎回“ドーン!!”という音がするのですぐ分かります。
こんな奇妙な登場の仕方をするのは、バーバラさんだけです。
“ドーン!”という音を聞くたびに「バーバラさん、いらした」とカーテンを開けに行きます。
カーテンを開けるとすりガラスの向こうに、挟まっているバーバラさんの姿を見ることが出来ます。
いつもちょっと面白いです。
そんなバーバラさんが、初めてお土産を持ってきてくれたのは雨の日の深夜。
ポいもがまだ学生の頃でした。
いつものように“ドーン!”という音が。
「バーバラさんが来た。
こんな時間に…しかも雨なのに」
急いでカーテンを開けてバーバラさんを見に行くと、すりガラスの向こうにいつもと違う何かが見えました。
ポいもはそのまま、すりガラス越しに見えるバーバラさんの口元を凝視。
明らかに…
ヤモリのしっぽがバーバラさんのお口から出ている。
ピロピロとしっぽが動いている。
生きている。
「おなか空いているのにゃしょう?
まだご飯食べてないのにゃしょう?」
そんな風に心配をしてくれたバーバラさんが、ポいもの為にご飯を運んで来てくれたようです。
いつも我が家を守ってくれている守宮さん。
ヤモリは苦手ではないのですが、深夜・雨の日に猫さんの口元で、しっぽをチョロつかせているヤモリはちょっと怖かった…
そっとカーテンを閉めます。
ごめんね、バーバラさん。
わざわざご飯を雨の夜中に、持ってきてくれたと言うのに…
窓を開けてあげれなくてごめんね。
そしてバーバラさんのお口の中の、ヤモリさんもごめん…
何もしてあげられなくて…
バーバラさん、ポいもは今日…
お夕飯しっかり食べて、おなかいっぱいだから。
大丈夫だから。
ね?