草木も眠る丑三つ時。
闇の者が動き出す時間。
物の怪たちが行列を作って練り歩く時間。
どこへ行くの?
百鬼夜行ってなんとなく、サザエさんのエンディングをイメージしてしまう。
物の怪の方たちも死人ではないのだから、密にはお気をつけ下さい。
夜遅くになると頭も体もボンヤリしてくるのに、目だけは冴えていたりする。
幼い頃はこんな時間に起きている人がいるなんて、思ってもいませんでした。
家族もとっくに眠りについている時刻。
でもふとした拍子に目を覚ましてしまう。
そんな時はいつもこの世で今、自分だけが起きてもしまっているのでは?
なんて思っていました。
どうしよう、自分だけ起きちゃったよ。
“恐怖” “孤独”
なんか怖い…静かすぎるし…
こういう場面では大抵時計の秒針が、やけに大きな音で聞こえてくる。
夜中のこういう微妙な違いが、昼間の世界とは全く別の世界に来てしまったのでは?という気にさせる。
自分の心臓の音ですら怖い。
怖いと更に心臓の音がうるさくなる。
“他の音が聞きたい”
布団から手だけ伸ばして、ラジオをつけてみる。
初めて聞く深夜ラジオ。
“生?!”
こんな時間に人が起きている!??
そんでもってまるで昼間の世界にいるみたいに、元気に喋ってる!
何だか急に安心したのを覚えています。
“なんだぁ。普通に人、起きてるんだ。
仕事してるんだ”
そんな風に思ったものでした。
その数年後、猫さんたちも起きていると言うことを知りました。
夜中にオモチャとチャッチャチャ動き出す。
それが我が家の猫ぽんちゃん。
「お出かけにゃ」
夜中に父の眠っている部屋の窓から、父を起こしてお出かけ。
ぽんちゃんご帰宅の際も、父を起こして窓を開けさせます。
それが夜中のうちに何度も繰り返されます。
勿論毎日です。
ホントは自分で窓を開けられるのに、いっつもぽんちゃんの夜遊びにつきあわされる父。
でも直後にイビキかいて寝ているので、たいして負担に思っていなさそう。
良かった!
「夜食のお時間ですにゃ」
今度は母を起こそうとする。
“ちょいちょいぽんちゃん。
母ちゃんは父ちゃんほど、甘やかしてはくれないよ?”
慌ててポいもが、ぽんちゃんのお夜食を用意。
「みんな寝ているから静かにね」
「にゃ?」
ぽんちゃんお腹いっぱい。今度は…
「ぽんちゃんはオモチャハンターにゃっ」
いいから、分かったから、静かにっ!
そんな夜遊び激しめのぽんちゃんとは対象的に、夜は静かに眠る猫じじいのポにゃちゃん。
静か…
じじい、ポにゃちゃん…
寝息…確認…
一応まだ大丈夫でした。
人間と暮らす猫さんにとっては、夜は眠るものですものね。