来る日も来る日も平凡な日々。
“冒険したい!知らない景色を見てみたい!”
たまにはそんな思いを抱く人も、多いのではないでしょうか。
“見たことのない世界に行ってみたいんだっ!”
子供が親の目を盗んで、夏休みの夜明けに小旅行に行く、そんな冒険。
うちのポにゃちゃんもそういうやつ…したかったみたいです。
やっぱり男の子ですから。
洗濯物を干しているポあねの目を盗んで、冒険の旅です。
気付かれないようにそーっと出て行きます。
そこ基本です。
ポにゃちゃんは、見たことのない世界を見ることにまんまと成功。
数十分?位はそのまま、気付かれなかったんじゃないですかね。
その後、ポにゃちゃんがいないことに気付いたポあねは顔面蒼白。
「ポにゃちゃんがいないっっ!」
ポいもの部屋には勿論来ていません。
いつも潜んでいる“クローゼット” “物置部屋の隅”にもいなさそう。
名前呼んでも出てきません。
でも玄関からは出て行くはずが無いから…って事はベランダ?
「洗濯物を干していた時っ」
いましたねー。お隣のベランダに。
まぁるく座ってこちらを見ていますねー。
ちょっと、そこで何してんの?
お隣さんにあなたが、そこにいる事がバレたら恥ずかしいでしょ。
「ねぇママー。ベランダに面白フェイスの猫さんがいるよー。フェイス面白の猫さんがベランダにー!」
そんな会話をお隣さんがしていると思ったら、なんか恥ずかしいです。とっても。
そこでお隣には聞こえないように、小さな声でポにゃちゃんを呼びます。
ポにゃちゃんをおびき寄せるため、オモチャちらつかせます。
「……………………」
こうなったらもう、ポにゃちゃんの好きなシーバをチョロつかせます。
あらゆる方法を駆使して、懇願してまでポにゃちゃんをこちらに戻らせようとします。
最終的には“もうポにゃちゃんなんて興味ないよ”って振りします。
案外これが効きました。
しばらくすると、自分からテコテコ戻ってくるポにゃちゃん。
しかしその後も洗濯物を干すたびにポにゃちゃんは、スーッと現れスーッと出て行く。
一度お隣から。
「お届け物です」
とポにゃちゃんが配達されてきた事がありました。
だから恥ずかしいって。
以来ポにゃちゃんは二度と、外の世界を見られなくなりました。