今にも雨が降りそうな匂いが充満している、ポ村の午後。
まゆさんはそんなポ村の様子を、窓辺に立ち見つめている。
昨晩眠れなかったまゆさん。
睡眠不足で、ちょっとイライラしているようです。
「分からない…
何故あんなものを見ようと思ったのか…」
サー-ー
とうとう降り出した雨。
まゆさんはさっきまでのイライラが、少しずつ治まっていくのを感じる。
雨が降ると“アレ”が出なくなるのだ。
まゆさんはまるでイヤなものを隠すように、クッションを投げつけました。
そこへテコテコとやって来たにゃこさんは、チョンとクッションに座り込む。
クッションの下にはDVDが…
タイトル“脳食い虫”
センスのないクソみてぇな内容のDVD。
クソのくせして気味の悪い映像が、頭から離れない。
元々嫌いなんだよ。
“脳食い”がっ!
マジ嫌い!
なのに何故見たのか…
見てはいけないと思うと、見てみたくなる心理。
ギリシャ神話にもあったっけ。
“冥界”に死んだ嫁さんを迎えに行った話。
“嫁さんを連れ戻したいなら、地上に戻るまでは決して振り向くな”って言われてんのに振り向いちゃった旦那の話。
「バカかよ」と思いつつも共感もしてしまう…
虫っつーのは、ホント見たくない。
外見凄絶すぎない?
何あれ?
あのミニサイズでも、外見ヤバすぎて怖い。
映画“脳食い虫”の話の内容を思い出し、まゆさんは気分が悪くなる。
同時に雨音が強まってきたようです。
村のあちこちに蚊柱を作る、小さきものの集団。
ハッキリと蚊柱となって浮遊している分にはまだ確認し、回避出来るから良い。
でもたまに集団が小さいからか、脳食いの奴らに気付かず、突然蚊柱の中に入り込んでしまっている事がある。
何故気付かなかったっ!
そして何でお前たちは、人の目や鼻の中に入り込もうとするんだ!
寄生虫じゃねえだろうがっ!
脳食いに鼻の中に入り込まれた気がして、懸命に鼻息フンフンさせて出そうとする。
そして目の中に侵入したっぽい脳食いは…
どこ行った?
入ったのか?
入ってないのか?
とりあえずどっちなんだっ?!
そして顔とかにはついてない?脳食い。
大丈夫?
そんなもん付けて歩いてると思ったら…
何でこの時期お前らは、こんなに出没するんだ?
お前らに当たらず家に帰れたら、どこぞの姫でも救い出せるんか?
あ??
だいたい誰だよ、てめぇは?
思い出しイライラしているまゆさんは、窓の外でこちらに向かって手を振る女に気付く。
(何だ?姫自ら脱出?)
次回に続く