まだポあねが北の国で暮らしていた時代の、今から数年前のお話。
両親とポいもの三人で、旅行に行った事がありました。
植物が好きな3人は、林の中を散策。
時期は春先。
辺りに甘い匂いが漂います。
「えー!うそぉ?!
凄い匂いしてるじゃん」
確実に甘い花の香りがしているというのに、何の匂いもしないと言い張る両親。
明らかにポいもの鼻スキルを疑っている。
「むむ…」
ポいもは自分の鼻がしっかり機能している事を、証明するため匂いの元がどこにあるのかを探し始めました。
「クンカクンカ…クン…」
「!!!」
どうだっ!
「ねぇ、あったよ!
この花。甘い香りがする。
ホラホラ!
早く近くで嗅いでごらんよ」
「何よぉ、このお花?」
クンクンクン…
ポいもは、自分の鼻スキルを証明出来てご満悦。
のはずが…………
お前たちの鼻…
どうしちゃったの?
匂いの元である花、そのものを嗅いでも匂わない…ですって?!
まさかっ?!
何故だ?老いがそうさせるのか?
老いるとモスキート音が、聞こえなくなるのと一緒か?
そしてポいもの鼻の機能は、証明出来ないのか?
「この花。
沈丁花みたいな甘い香りがするのにさぁっ」
ブツブツ言うポいもに父が
「沈丁花の匂いがするのか。
この花はミツマタと言って、沈丁花のお友だちなんだ。
枝が3つに分かれているだろう?
だからミツマタと言うんだよ。
沈丁花の仲間だから同じような匂いが、するのかもしれないな」
「あら、そうなの?」
父のその一言で、何となくポいもの鼻の機能が、証明されたような気になりました。
「その花ミツマタって言うんだ。お父やんは、良く知ってんね」
何だか父はその言葉に気をよくしたのか、聞いてもいないのに植物マメ知識を語りだす。
何やら草を指差し“これ食べられる”とか言いだしてます。
父の知識をひけらかしたい病は、完全ポいも似です。
食べ物の話しも良いけど、君たちの鼻スキルの衰えがさ…
己自身で、気にならんのかね?
もう花を愛でる位しか楽しみも無いだろうによ…
目でしか楽しめないなんて。。。
ってかもう目もダメだったよね、君たち。
特に我が母。
そう、お前が作るみそ汁っ!
一面、虫!
虫しか見えない。
この食べ物は何かね?
逆ぎれ?されました。
「だって虫…………」
これは虫汁…とでも言うのでしょうか。
それを母は、美味しそうに食べていました。
確かに体に害は無いとは思います。
ポいものわがままです。
いずれ全人類が、昆虫を食べるようになるとは思います。
ならざるを得ないと思います。
食糧難ですからね。
でもまだ…………
今じゃないんだ!
まだ今は無理なんだ!
無理だよ、母ちゃん。