“楽な死に方”そう検索すると“電話相談”や、“自殺対策”のホームページが一番に出てくる。
一体どの位の人がその単語を検索した後、そのホームページにアクセスしようと思うのか。
世の中に存在するものは、それぞれ変化していく。
動植物…岩ですら長い年月をかければ変化していく。
そして人の心も……
でもある日突然その心が、変化しなくなる事がある。
“死”しか考えなくなる。
心がそこから永遠に動かない。
簡単に、心を変化させる言葉なんてあるのだろうか?
魔法の呪文みたいな言葉が…
そんなものが本当にあるのなら、皆に聞かせてやれば良い。
その秘術のような言葉を聞かせて貰う事が出来ずに、毎日本当に“死”を切望し、苦しむ人たち。
そんな人たちに、望みのものを与えてやりたい。
望みが叶う“死の薬”
作り出せるだろうか?
まるでサンタのように“死”を与えてやりたい。
朝、プレゼントが枕元に置かれている事に気付く前に、キレイに消滅させてやりたい。
時折、徘徊するカゲたち…
心にマイナスの影響を与えていく。
人は唯一、自分の死を望める。
なのに自分の死を望む事は許されない。
それはただの試練でしか無い。
何の為に人を作った?
何の為に死を望むように作った?
死を望むような人間を淘汰するため?
だとしたら死を望む事は、本当に許されない事なのか?
ただ…彼らの手助けをしてやりたいんだ。
苦しまずに死ねるように。
まるでRPGのモンスターのような死。
死の瞬間、砂のように消え失せるような…そんな死。
後始末も何もいらない死。
そんな風に死ねる薬を与えてやりたい。
「どうかしました?」
静かに首を振るマメチュー先生。
「ただ心配なのです」
てんまも黙って空を見上げた。
……………。
勇者に殺される側で構わない。
こんな価値のないはずの命が、最後に勇者の成長の手助けになる。
そんな贅沢な死に方。
バカみたいに…
そんな夢ばかり見ている。