薬膳料理を主に提供する「小料理屋 三すくみ」と、ハーブティーやヘルシなお料理を提供している「マメクスリカフェ」
両者は調味料等を一緒に手作りする事があります。
本日は皆で七味を調合。
薬局に遊びに来ていたトビーくん。
不思議そうにキョロキョロ見てまわります。
マメチュー先生がトビーくんに優しく解説します。
「7種類の薬味や香辛料…いい香りのするものや、辛いものを入れたスパイスのことですよ」
「う~ん、あっ!お口ぴりぴりするやつ?」
「そうですよ。七味はお口ぴりぴりするやつです」
「ぴり好き-」
ぴりぴりのお歌を歌う位、七味が好きなトビーくん。
一方、シュンとしているナメ江さん。
辛いものが苦手みたいです。
「麻ノ実モ苦手デス」
麻の実のカリッとした食感も苦手なようです。
「トビーくんはカリ好きー」
七味について語るフロ次さん。
「確か地方によって調合する薬味が違うんデスよね。でも麻の実は全国共通で七味に入れるハズ。デスよね、マメチュー先生?」
「はい。三大七味と言われているのが、東京・長野・京都の七味です。
共通して入れる薬味は、唐辛子・山椒・麻の実・黒胡麻。後は地方によって白胡麻・青のり・シソ・陳皮・けしの実・生姜等の違いがあります。
東京は味の濃いお蕎麦に合うように作られ、京都はおうどんに合うように香り重視で作られているようですよ」
「オウドンニ合ウ…デスカ?」
実はうどんが大好きなナメ江さん。
「ではナメ江さんのお口に合うように、京都の七味を参考に調合してみますか?」
「イインデスカ?何カ楽シクナッテキマシタ」
ナメ江さんが好きなうどんに合う七味作り。
「おうどんは無いですが、豚汁を作っておきました。七味に合うと思うので、味見しながら作りませんか?」
そんなマメチュー先生の心遣いに、みんな遠慮せず甘えさせて貰う事にします。
「マメチュー先生、豚汁美味しいデス。でもこの七味、色んなお料理に合いそうデスね。」
料理人のフロ次さん。
七味と料理の相性を想像している様子。
「王道なモノばかりが浮かんで来てしまいマス。味噌ラーメン・焼き鳥・牛丼.白菜の漬物・スルメマヨにきんぴらとコンニャクのピリ辛炒め」
早く自分に合った…というかナメ江さんに合った七味を完成させたい!
案外変わった味が好みのナメ江さん。
でもまるで絶対舌感があるのではと思うほど、ちょっとの味の違いが気になるらしい。
誰も妥協を促す事無く、会話で場を和ませながら永遠に協力。
「けしの実も入れてみません?アンパンに乗っかっているやつです」
「陳皮もっと足してみますか?香りが増しますよ。ゆずの皮は苦手でも陳皮ならくせ少ないと思います」
「麻の実や胡麻の“麻”はまゆさんの“麻”と同じ字なんですよね」
!!?
ナメ江さん、突然の大号泣。
好みの味がなかなか作れなくて、悲しくなってしまったみたいです。
涙を流し過ぎて心なしかほっそり。
マメチュー先生が、落ち着かせるように、そっと豚汁を差し出します。
七味作りで疲れていたのか皆が見守る中、ジュルジュル食べ始めるナメ江さん。
涙も止まり満足したように、ため息をつく。
「マメチュー先生ゴチソウサマデシタ。ヤッパリマメチュー先生の豚汁ハソノママ頂クノガ一番美味シイデス」
本日の七味作り終了しました。
薬研堀不動院の辺りが医者町だった頃。
漢方を参考に誕生した七味。
当時は食欲増進、風邪予防、体をあたためる為の薬として販売していました。
“薬研”というのは漢方をすり潰す道具の事です。
七味の中に含まれるケシや麻の実。
ケシはアヘン(モルヒネ、ヘロインが作られる)の原料の事ですが勿論、七味の中に入っているのは害のないものです。
麻の実(大麻)もマリファナが作られるものとは違うので、安心してお召し上がり下さい。