マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

村長、トウキさんを見守る

集中力が凄い人によくある症状。

 

まばたきをしなくなる
呼吸が止まりがち
周囲の音が聞こえなくなる
空腹感に気づかない

 

余計なお世話でも、そんな状態の人を見ると心配してしまいます。

何時間そうしているのでしょう…

 

私、ポ村の村長が子供の頃。

11月11日
11時11分

白い壁に寄りかかると、異世界へ行ってしまう。

そんな噂がありました。

 

……異世界……

 

そこはどんな場所なのでしょう?

11月11日、それは小学校の学芸会の日でした。

体育館で他の児童たちの出しものを見る振りをし、そして先生の目を盗み、白い壁に寄りかかる同級生たち。

 

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アリスやオズのような世界へ行けると思ったのでしょうか?

 

“地獄のような不吉な世界かもしれない”

そうは考えないのでしょうか…

でもこの世とは違う世界を垣間見てみたい、その気持ちは分かります。

 

集中力が凄い人を見ていると、もしかしたらこの人の意識は今、異世界に行っているのではないか…

そんな風に思う事があります。

 

いわゆる“ゾーン”状態に入って、周囲の風景も消え、この世界とは切りはなされた別の世界を見ている。

それは一体どんな世界なのでしょう。

 

ポ村出身のトウキさん。


彼が描く世界は、目の前に見えている風景をそのまま描いているのではないか。

彼の絵を見ているとやはり、そんな風に思うのです。


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私なんかには見ることが出来ない世界を、見せてくれるトウキさんの絵は、見ていると凄く胸が高鳴ります。

 

私が不思議な世界を見れたのは、夢の中で一度だけ。

ポ村の影響が出ていたのか、水にまつわる夢でした。

階段の上からつねに流れ落ちてくる水。

階段の下には、水深がとても深そうな湖のような水が溜まっていました。


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ここから転げ落ちたらどうなるんだろうか。

そう思う一方、足元を流れる清らかな水に癒される、そんな不思議な世界の夢でした。

 

画廊でトウキさんの絵をみつめていたてんまさん。

彼女も同じく、水にまつわる夢を見たことがあるそうです。

「幼い頃、何度も同じ夢を見ていたんです」

小さな小さな寂しい公園のような場所。

その片隅にある水たまりで釣りをするおじさん。


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おじさんに「何してるの?」と毎回尋ね、おじさんは「釣りをしているんだよ」と毎回答える。

 

おじさんが釣ろうとしているのは、水たまりの中にいる小さな一匹の魚。

 

「網を使えば簡単に捕まえられるのに」毎回そう思う。

 

当時はポ村ではない街で、妹のしょうまさんと住んでいたてんまさん。

小さな水たまりの中で泳いでいる、小さな魚がほしくてしょうがなくなり急いで家に網を取りに行く。

いつもその途中で目覚めてしまうそうです。

 

「あのお魚、何でだろう?欲しかったんですよね。とっても」
歌うように語るてんまさん。


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てんまさんが本当に欲しくて仕方がなかったものは、何だったのでしょうか。

 

自分の中に足りない何かでしょうか。

 

ポ村でその足りない何かが、埋められればいいのですが。

 

画廊でトウキさんの絵を見つめながら、ポツリと呟くてんまさん。

「この人はマイナスイオンを欲しがっているのかな?もしかしたら、プラスイオンに囲まれた環境にいるのかもしれない」

 

マメチュー先生が言うには、マイナスイオンは水がある場所で発生するそうです。
マイナスイオンは体のバランスを正常に保ち、プラスイオンは頭痛、肩こり、情緒不安定等の状態を引き起こす要因となるようです。

そうだとしたら、尚更トウキさんが心配になってしまいます。

 

ポ村の紹介に続き水の話をしてしまいましたが、トウキさんの絵で他に人気なのが“歌う猫シリーズ”
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トウキさんのファンの方によく、トウキさんがどんな方なのか質問されますが、いつも困ってしまいます。

 

「正体隠しているんですか?」

 

答えに詰まっていると、変な勘繰りまでされてしまいます。

 

トウキさんは普段、筆を動かしているか、お仕事後、放心状態になっているかのどちらかなので、なかなか人前には出ていらっしゃらないのです。

私も本当は、トウキさんがどんな方なのか、よく分かってはいないんです。


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本人には直接いろいろ聞けないでいる、ダメな村長。

 

代わりにくまじろ先生に実はトウキさんに、病気の可能性があったりしないか心配で尋ねに行ったりしてしまいます。

“電子メール無呼吸症候群”

呼吸やまばたきの回数が低下し、目が疲れる。

トウキさんの場合は、メールではないですが、絵を描いている時に、同じような症状は出ていないか、不安が募ります。

 

トウキさんが絵を描きながら、死んでしまうのでは……?

変な考えまで、よぎります。

死ぬまで自力で息を止めて、絶命する自殺。

死ぬ前に意識が失われ、自動的に呼吸が再開されるので、実際に死ぬ事は無いそうですが、体への負担は大きいはずです。

彼が見ている異世界から、このまま帰って来てくれないのではないか。


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でもトウキさんにおせっかいを焼くと、その途端に私の前から消えてなくなりそうで、出来ないのです。

人が苦手、そう聞いた事があるので、遠くから見守るだけで精一杯。


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マイナスイオンを発生させる、水の絵を描いている画家さん本人が何故とてもツラそうなのでしょう。

他に理由が?

心配です。